今回おすすめするワインはこちら。
ブルゴーニュの村名アペラシオンであるマルサネ(AOCマルサネ)で造られる、良質で存在感のある一本。20年前から好きな造り手です。
※ AOCとは、「アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ/Appellation d’Origine Contrôlée」の略称。「原産地統制呼称制度」と呼ばれるフランスの制度で、土地や品種、製法などに一定の基準を設け、それらを全て満たした場合に名乗ることができる。
AOCマルサネとは、ブルゴーニュ地方の中心都市ディジョンのすぐ南に位置し、マルサネ・ラ・コート村とその北のシュノーヴ村の一部、南のクシェイ村から成り立っています。
マルサネは比較的新しいAOCのため、グラン・クリュやプルミエ・クリュはまだ制定されていないのですが、優れたテロワールを持っています。
今回ご紹介させていただく「ドメーヌ・フィリップ・ナデフ/Domaine Philippe Naddef」の当主であるフィリップ・ナデフは、ブルゴーニュのシャンボール・ミュジニー村における最高峰の造り手「ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ドゥ・ヴォギュエ/DOMAINE COMTE GEORGES DE VOGUE」にて5年間修行しています。
さて、このワインの造り手であるフィリップ・ナデフのワイン造りに対する信念は、「良いワインを造ることが大切なのではなく、良い葡萄を作ることが大切である。」というもの。そしてその葡萄とは「その年の気候やその土地の個性を反映したものでなくてはならない。」と語っています。
化学肥料を一切使わない有機農法を行なっており、農薬は必要最低限だけの使用。除草剤は一切使用していません。
ラズベリー、木苺などの赤系果実の香り、ブラックチェリー、カシス、バラ、シナモンのニュアンス。味わいは、豊かで明るい果実味と酸があり、凝縮感と広がりが同時に感じられます。抜栓のタイミングによっては、酸味やアルコール感が強く感じられてしまうので、その場合はしばらく置くと果実味が出てきます。1日くらい置くと良いのですが、これから飲もうとする時には、なかなか難しいですよね笑
熟成させると旨味が出てくるので、このワインの質の高さとポテンシャルを楽しむことができます。また、鉄分の少ない粘土質の土壌ですので、魚介系と合わせても生臭さが出にくく、美味しく合わせることができます。この時はカラスミ、椎茸と合わせましたが、素晴らしいマリアージュとなりました。
メルシャン株式会社の研究発表によると、魚介系と合わせた時の生臭さの原因の一つとして、ワインに含まれる二価鉄イオン[Fe²⁺]と魚介に含まれるDHAやEPAなどの脂肪酸が酸化した過酸化脂質が反応して発生する「(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール」が挙げられるそうです。
それを抑えるには以下の方法が有効です。
□油やバターを使用する。
□刺身などの場合は、酸化していない新鮮な魚介を使用する。
□レモンを使用したり、酸度の高い白ワインを調理に使用する。
□鉄分の少ないワイン※を合わせる。
※土壌や製法(シャンパーニュの瓶内二次発酵やシュールリー、シェリーなどの酒精強化ワイン)である程度選択できる。
亜硫酸との関係も含めて、この辺りも身体意識の観点から研究していくと面白そうです。
話がそれましたが、この「ドメーヌ・フィリップ・ナデフ マルサネ ルージュ/Domaine Philippe Naddef Marsannay Rouge」の特徴的な身体意識は、センター(細径軸)、サイド・センター(第2側軸)、中丹田、温球、心田・心田流、パームなど。
天性のクオリティを持つセンターは、細径軸が通っています。その細径軸の両側には、天から肩の高さまで、サイド・センター(第2側軸)も形成されています。これらのセンター系身体意識により、味わいへ気品と構造を与えています。
頭部には斜め前上方から、天性のクオリティを持つ身体意識が入ってきており、味わいにスッキリとした印象を与えています。
胸には二重構造の中丹田と巨大な温球が形成されています。中丹田は凝縮感のある果実味を生み出し、温球は明るい果実味と広がりを与えています。
地下からは中丹田と重なりながら鼻をかすめるような位置へ熱性のクオリティを持つ身体意識が形成されています。立ち上ってくる赤系果実の香りと関連がありそうです。
両脇には心田・心田流が形成されており、天性・熱性という2種類のクオリティを持っています。これらの2種類のクオリティを持つことで、味わいのバランスを上手く取っています。
両手掌には温性のクオリティを持つパームが形成されています。これは造り手の身体意識が反映されたものでしょうか。
このように身体意識から観ると、全体として良質の熱性・温性身体意識が豊富であることが分かります。また、熱性・温性のクオリティを持つ身体意識が優位でありつつも、天性のクオリティを持つ身体意識が適度に形成されることにより、味わいのバランスを取っています。明るさや取っ付きやすさがありつつも、ブルゴーニュワインらしい気品を生む天性のクオリティを持つ細径軸が通っていることから、このマルサネの持つテロワールの特徴を上手く引き出していると言えます。良い葡萄から造られているワインということが伝わってくる素晴らしい一本です。
この造り手の手掛ける他のワインとしては、
しっかりとした構造を持つ
フィサン/Fixin
樹齢40年以上の古樹の葡萄から造られる、
ジュヴレイ・シャンベルタン・ヴィエイユ・ヴィーニュ/Gevrey Chambertin Vieilles Vignes
マジ・シャンベルタン/Mazis Chambertin
がお勧めです。
一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。
《甘味だけで、骨格のないジュヴレイはもういらない!ヴォギュエで修行を積んだ若きクラッシック・ジュヴレイの担い手
1983年に当主であるフィリップ・ナデフ氏により設立されたドメーヌ。本拠地はフィサン村にある。実家から受け継いだ葡萄畑の多くがジュヴレイ・シャンベルタン村の輝かしいアペラシオンばかり。さらにその畑の多くが40年以上の貴重な古樹である。
フィリップ氏は修行時代に5年間シャンボール村のドメーヌ・コント・ジョルジュ・ドゥ・ヴォギュエで過ごし、畑の管理から醸造技術にいたるまで多くを学んだ。
そんな彼のこだわりは、「良いワインを造ることが大切なのではなく、良い葡萄を作ることが大切である。さらにその葡萄はその年の気候やその土地の個性を反映したものでなければならない」というもの。しかも、「ジュヴレイ・シャンベルタン村のワインはいかなる状況においても、果実味と骨格が共にしっかりとした長期熟成できるワインであるべき」とも言う。
醸造は、100%除梗の上、7〜10日間の低温マセラシオンを行う。新樽比率は25%〜100%(年やアペラシオンで異なる)、約17ヶ月の樽熟成後を経て、清澄もフィルターがけも行わずに瓶詰。栽培においては、化学肥料を一切使わぬ有機農法を実施しており、農薬は必要最低限だけ使用する(除草剤は一切用いない)。健康で安全な完熟した葡萄を育てることがワイン造りの全てだと熱く語る真面目なヴィニュロンである。
■ブルゴーニュ・ブラン
Bourgogne Blanc
マルサネからフィサンにかけた数区画をブレンド。フレッシュで気軽に楽しめる白ワイン造りを目指すが、アペラシオンの個性を反映させる為に、100%樽熟成。熟成期間はヴィンテージにより、8-12ヵ月。フレッシュ感を残しながら、やわらかく飲みやすい味わいに仕上がっている。
■ ブルゴーニュ・ルージュ
Bourgogne Rouge
2年使いの樽100%を使い、赤ワインは基本的に16-18ヵ月熟成であるが、ヴィンテージ、キュヴェによって加減する。澱引きをせず瓶詰め。樽負けしない力強い味わい。
■ マルサネ・ルージュ
Marsannay Rouge
マルサネの平地部分のヴィラージュ。フィサンとは対照的に、鉄分の少ない粘土質の土壌からは、フランボワーズなど赤いベリー系の果実のニュアンス持つワインを生み出す。
■ マルサネ・ブラン・ヴィエイユ・ヴィーニュ
Marsannay Blanc Vieilles Vignes
マルサネの平地部分のヴィラージュ。石灰質は少なめで、粘土質が強い土壌。凝縮した果実味を持つ、出色のシャルドネを生む。
■ フィサン
Fixin
カシスなど黒いベリー系の果実のニュアンスを生み出す、斜面下部の鉄分の多い粘土質の畑。堅固なフィサンの中では、早いうちから楽しめるキュヴェ。
■ マルサネ・レ・ジェネリエール・ルージュ
Marsannay Les Génélières Rouge
マルサネの中でも斜面にある畑。現在マルサネ初の1級畑の申請をしている優れたテロワールを有する畑。厚みと深みに格段の違いをみせる。
■ マルサネ・シャン・ペルドリ
Marsannay Champs Perdrix
■ ジュヴレイ・シャンベルタン・ヴィエイユ・ヴィーニュ
Gevrey Chambertin Vieilles Vignes
1級畑クロ・サン・ジャックの斜面上部、「エボセル」というパーセル。ジュヴレイ・シャンベルタン北側の斜面は有名1級畑がひしめくが、ヴィラージュ物はお買い得。平均樹齢は40年超。
■ ジュヴレイ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ・レ・シャンポー
Gevrey Chambertin 1er Cru Les Champeaux
ジュヴレイの北斜面にあり、カズティエと隣接。南東向きの斜面で、水捌けの良い石の多い固めの粘土質。ヴェルヴェッティで柔らかい女性的なクリュ。
■ ジュヴレイ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ・レ・カズティエ
Gevrey Chambertin 1er Cru Les Cazetiers
ジュヴレイの北斜面の中でも特に定評のある1級畑。(ブリュノ・クレール家では特級畑と同等に扱っている程)急斜面の水捌けの良い石の多い粘土質から力強く長熟するワインが生まれる。
■ マジ・シャンベルタン
Mazis Chambertin
オスピス・ド・ボーヌ所有のマジ・シャンベルタン(オークションでは毎年最高値をつけられる)に隣接する抜群のロケーション。これもフィリップ氏の叔母が植え、彼が長年にわたり手入れをした樹齢40年を越える銘畑。》
※《》内はインポーター資料より
https://www.vinpassionco.com/producer/lb14/
生産者の情報
https://bourgogne-naddef.com/index-uk.php
名称 | ドメーヌ・フィリップ・ナデフ マルサネ ルージュ |
英字表記 | Domaine Philippe Naddef Marsannay Rouge |
生産者 | ドメーヌ・フィリップ・ナデフ/Domaine Philippe Naddef |
国・産地 | フランス・ブルゴーニュ・マルサネ |
セパージュ【葡萄の品種】 | ピノ・ノワール100% |
ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 2017 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 | 赤 |
STポイント※1 | 89 |
クラス※2 | ハイクラス |
抜栓 | 2020/12 |