ブラインドテイスティング

ブラインドテイスティングは、資格試験や大会などで行われる、何も情報がない状態からそのワインの詳細を推測し当てるためのものです。

普段飲む時には、当てるためではなくワインを楽しむため、そして自身の身体意識を高めるため、出来るだけ記号情報から離れてテイスティングを行うことには意義があります。

ブラインドテイスティングを行う際、絞り込んでいく流れは人それぞれですが、身体意識を感じながらやっていく自分の場合は以下のような流れでやっています。

1.国
2.国の中の位置・北か南かなど
3.土地の特徴・高低など
4.地域名
5.葡萄品種
6.ビンテージ
7.銘柄

上記の流れで、それぞれについての身体意識を感じて重ねていき、最終的な銘柄を導き出します。ワインの身体意識はこれら全ての身体意識、さらには造り手の身体意識が重なり合って形成されているので、それらを注意深く分けて感じていくのです。

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自分の場合は特に事前の準備もなく、仕事後に会場へ呼ばれて着いた瞬間にやるようなことが殆どなので中々ハードなのですが、上手くいった例として、以下のようなことがありました。

あるワインショップのテイスティングスペースで、グラスに注がれた状態で置いてあるワインのブラインドテイスティングを行いました。高岡師範もいる手前、外せない状況でした。ノーヒントなので、まずは色をサッと見て、次に香りを感じます。香りからは中丹田を感じ、明るさ、落ち着きも感じられました。それから少しづつ飲みながら以下のように導き出しました。

国→
この全体を基底するような深さ、これはニューワールドではない、ヨーロッパだな。しかも明るさが目立つので、イタリアかスペインだろう。スペインだと明るさの質が異なりもう少し粘性があって濃いはずなので、このカラッとして晴れやかな質感はおそらくイタリアだろう。

国の中の位置→
北にしては冷涼なクオリティが少ない。南にしては強くストレートなエネルギー感が少ない。センター、特に細径軸からの気品も感じられる。だとすると、エミリア・ロマーニャもしくは中部イタリア、その中でも北に位置するトスカーナ辺りか。

土地の特徴・高低→
ニュートラルな印象だが、このセンターを始めとした気品を作り出す身体意識の特徴からすると、標高が高いか寒暖差があるかもしれない。

地域名→
センターと三丹田など身体意識のバランスがよいので、トスカーナだろう。しかもセンターから気品が感じられるので、トスカーナの中でも格の高い地域で間違いはなさそう。キャンティリゼルバクラスかブルネロ、ボルゲリ辺りか。

品種→
まず、このストレートな身体意識は単品種だろう。また、このセンターと中丹田のバランス感はサンジョベーゼ。しかも、この大地とつながる感じや重性のクオリティから来る落ち着きからすると、グロッソの可能性が高い。

ビンテージ→
バランスがよく落ち着いてはいるが、まだまだ中丹田の明るさが強く、若々しさもある。おそらく3-5年程度の熟成だろう。

銘柄→
これらの特徴を合わせると、イタリアトスカーナ、ブルネロ・ディ・モンタルチーノ2013年辺りか。

 

これ程上手くいくことは稀ですが、身体意識を感じていって答えに辿り着くと、そのワインの本質を体感、共有できたような気がします。

普段から身体意識を研ぎ澄まし、常にこの様な本質的な味わい方をできるようになりたいものですね

【総支配人 ワインバトル 第1回】

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