異なるワインをブレンドする「ワイン同士のマリアージュ」

ワインをさらに楽しむために、下記をご紹介します。

【異なるワインをブレンドする】
ワイン造りでは、常識のように数種類のワインのブレンドが行われています。

ボルドーではカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを中心とした葡萄から作られたワイン、シャンパーニュでは同種の葡萄でもビンテージの異なるワイン、イタリア・トスカーナではサンジョベーゼを中心とした数種類の地品種といったように、地域によってある程度使われる葡萄品種の組み合わせ方は決まっていますが、複数の異なる葡萄品種や畑、ビンテージのワインのブレンド(アッサンブラージュ)が行われています

一方、我々飲む側の人間が瓶詰めされたワインに対して、同じ造り手や地域はもちろん、複数の異なる国や品種のワインをブレンドして楽しむことはタブー視されて来ました。

その1番の理由は造り手対する敬意に欠ける、という事だと理解しています。しかし、初めから意図的に2本用意して同時に抜栓してブレンドする機会はなくても、1本目に開けたワインが物足りなくて残してあり、2本目を開けてそのワインも何かが足りない、となった場合には、その2つをブレンドする、という選択肢はあってもよいはずです。

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この異なるワインのブレンドは、上手くいくと、それぞれのワインを単体で飲んだ時の味わいからは想像出来ないほどの変化が起こります。

賛否はあると思いますが、残してしまうより美味しく飲み切れた方がよいのは当然ですので、ブレンドする価値は十分あると思います。また、別の考え方として、料理と食材の関係で考えると納得できるかもしれません。

つまり、ワインを料理として考えると、それにさらに手を加えることは失礼かもしれませんが、ワインを食材として考えると、複数の食材を使って美味しく調理することは、造り手にとっても嬉しいことです。

このようにいろいろな解釈はありますが、ブレンドの仕方によっては圧倒的に美味しくなるので、敢えて発表させて頂きました。

ブレンドする際のポイントは色々ありますが、基本的にはそのワインの味わいや身体意識の特徴を掴み、ブレンドした時にどうなるのかを想像することが重要です。この辺りは、料理とワインのマリアージュとほぼ同じです。言わば、「ワインとワインのマリアージュ」です。異なる味の中に共通点のある組み合わせ、足りないものを補う組み合わせなどが基本です。

具体例を挙げましょう。
先日、私の師範である高岡英夫を中心とした身内の会で、1本3000円以内のルールでのワイン対決が行われました。毎年1回開催され、今年で4年目になります。

赤、白、赤の順で3日間の対決なのですが、その初日、赤ワインの対決で、味わい的にも価格的にも僅差であり、勝ち負けの判断が難しいワインでした。そこで師範が機転を利かせ、2つのワインをブレンドして、その貢献度、つまりベストな味わいにした時に使用比率の高いワインの方を勝ちとすることにしました。

この対決のワインは以下の2本です。

名称:コレッツィオーネ チンクアンタ+2/San Marzano Collezione Cinquanta
生産者:カンティーネ サン マルツァーノ
国・産地:イタリア・プーリア・サレント
品種:プリミティーヴォ50%、ネグロ・アマーロ50%
ビンテージ:NV(2012と2013をブレンド)

名称:カンピ ヌオーヴィ モンテクッコ サンジョヴェーゼ/Campi Nuovi Montecucco Sangiovese
生産者:カンピ ヌオーヴィ
国・産地:イタリア・トスカーナ
品種:サンジョベーゼ100%
ビンテージ:2015

味でいうと、サン マルツァーノは果実味が強く横に広がるような甘みがあり、少しその甘みがベタつくような感じでした。カンピ ヌオーヴィは果実味は弱いですが程よい酸味が縦に抜け、外側に少し葡萄の茎のような青さと僅かなエグ味がありました。
身体意識でいうと、サン マルツァーノは中丹田系、カンピ ヌオーヴィはセンター系です。ちょうど真逆のような特徴です。

結果は58:42でカンピ ヌオーヴィの勝ちとなりました。

この比率でブレンドした結果、カンピ ヌオーヴィが本来待っている適度な酸味から生まれるセンターはそのままに、サン マルツァーノの持つたっぷりとした果実味と甘みが生きています。エグ味も目立ちません。

カンピ ヌオーヴィ58:サン マルツァーノ42という比率が1番それぞれの特徴を生かしつつ、全体としてのバランスが取れ、味わいも豊かになります。身体意識的にも、センターと中丹田がバランスよく形成されていました。過程から判定方法、結果まで大いに盛り上がった対決でした。

このように、ワインのブレンドを取り入れると、その組み合わせ方と楽しみ方は無限に広がります。

本当に美味しくなる組み合わせと比率があるので、ぜひ試してみてください。

その他のお酒、例えば焼酎でも同じ要領でブレンドすると、味が素晴らしくなるものがあります。その話はまた別の機会に。

<2020年01月28日追記>
上記にある焼酎のブレンドについて、以下記事で取り上げました。

龍、beyond/Ronn-TEN beyond 〜おすすめワインリスト番外編3〜

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