今回おすすめするワインはこちら。
元農業大臣の「カロジェロ・マンニーノ/Calogero Mannino」が、イタリア最西端にある火山島パンテレリアで手掛ける一本。1999年創業の比較的若いワイナリーですが、青い海、緑の山々、シロッコと呼ばれる強い南風、湖、温泉などのパンテレリアのテロワールの特徴を上手く引き出しています。
ジビッボ/Zibibbo(マスカット・オブ・アレキサンドリア/Muscat of Alexandria)と呼ばれる葡萄品種から作られています。
この造り手の主力ワインは、パッシートと呼ばれる陰干しにより葡萄の糖度を高めて作られる甘口のワインですが、今回ご紹介させていただくのは辛口の白ワインです。
この造り手のワイン造りの哲学は「クリュ(畑)の概念を大切にすること」であり、このワイン名にある「ジネストレ/Ginestre」とは、黄色の美しいエニシダの花が咲く丘にある畑の名前です。その高い品質によって、有名レストランや真のワイン愛好家から高い評価を得ています。
柑橘系果実の香り、白い花の香り、僅かに蜂蜜と上品な石鹸のニュアンス。味わいは、美しい果実味と酸が感じられ、液体に満足感のある厚みもあります。滝の前に立っているかのような清涼感があり、そこへパンテレリア島のテロワールが持つ生命力が重なるような豊かで優しい味わいです。
特徴的な身体意識は、センター(細径軸)、中丹田、肩包面、天性のクオリティを持つ降り注ぐ身体意識、崖から水が流れ落ちるような身体意識、ガイアのクオリティなど。
天性のクオリティを持つセンターは、細径軸が美しく通っており、味わいに美しさを与えています。
頭部には天性のクオリティを持つ身体意識がシャワーのように降り注いでおり、味わいへスッキリとした印象を与えています。
胸部には縦長の中丹田が形成されており、その中丹田がガイアのクオリティに包まれています。果実味の満足感がありつつも、優しく柔らかいニュアンスを生み出しています。
中丹田の上部には肩包面が形成されています。ガイアのクオリティを持っており、自然の豊かさ、生命力といった島独自のテロワールを感じさせます。
斜め下前方から胸に向かって、ガイアのクオリティが太く大きな流れで入ってきています。この身体意識も、木々や湖、温泉などがあるパンテレリア島のテロワールからの影響が反映されたものでしょう。
身体前面には、切り立った崖から水が流れ落ちるような身体意識が形成されています。センターから眺めると、目の前に高い滝があり、そこから勢いよく水が流れ下っている、その水しぶきが少しかかるような印象です。パンテレリア島にはこのような情景は無さそうなのですが、これほどハッキリと感じられる身体意識ですので、何らかのテロワールからの影響、もしくは造り手の想いがあるのだと思います。
このように身体意識から観ると、パンテレリア島の豊かな自然をよく表していることが伝わってきます。センターが美しく通っているので、その自然の中にあたかも入り込んでいるかのような錯覚すら生まれる味わいながらも、ゆっくりとその自然を楽しめる自分もいるような、素敵な身体意識です。料理との相性もよいので、ぜひ試して頂きたい一本です。この造り手のパッシートと呼ばれる甘口ワインも試してみたくなります。
さて、今回はこれで終わりではなく、続きがあります。
実はこのワイン、高岡師範と味わう機会があり、その際、私が注いだものと高岡師範が注がれたもので、どのようにワインの身体意識が異なるのか、ということを確認できました。
私が注いだものだと、前述した通り、目の前に高い滝があり、そこから勢いよく水が流れ下っているような身体意識でしたが、高岡師範が極意注ぎされたものは、全方向360°が滝に囲まれており、その中心に自分が立っていて、周り中から滝が流れ降ってくるような身体意識でした。滝の深さも深く、あまりにもレベルの違う身体意識でしたので、思わず師範に確認してしまったことを覚えています笑
センターも細径軸だけではなく、三層構造のセンターになっています。切り立った崖が前方だけではなく、全体を取り囲むようにして存在し、そこから身体の中心に水が落ちてくるので立体的な印象を受けるのですが、その滝の圧倒されるようなパワーにも負けない強いセンターです。
上丹田も形成されており、中丹田やガイアのクオリティを持つ身体意識も強大なパワーと規模になっているので、私の注いだものと比べると、同じ造り手であることは分かるもののの、スタンダードキュベとトップキュベかそれ以上の差がありました。ワインのポテンシャルの高さと、極意注ぎの凄まじい効果を確認できた貴重な機会でした。
ちなみにこのワイン、高岡師範が飲まれた瞬間に、「昔、家の庭にあった葡萄と同じ味がする、ちょうど同じ味。」と仰っていたのですが、帰ってから品種を調べてみて「ジビッボ/Zibibbo」種でしたので驚きました。
ジビッボ種は日本ではマスカット(マスカット・オブ・アレキサンドリア)と呼ばれる品種であり、日本でも古くから栽培されているので庭の葡萄がマスカットやその系列種であった可能性は高いのですが、即答できる高岡師範も凄いなと素直に思いました。
一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。
《■アブラクサス クッディア・デッレ・ジネストレ ジビッボ・パンテッレリーア・ビアンコ
ぶどう品種
ジビッボ(モスカート・ダレッサンドリア)
種味わい
辛口
アルコール度数
15%未満
生産者
アブラクサス
産地
イタリア/シチリア格付けパンテッレリア・ビアンコDOC
ティスティング
非常に香しく、ジビッボ種由来のモスカートの香りが印象的。飲み応えのある、滑らかな口当たりの辛口。
備考
春から初夏にかけて黄色い美しい花をつける”ジネストレ(エニシダのこと)”の咲く丘にある畑で、ブドウは9月1〜2日にかけて収穫。ステンレスタンクで14〜16℃で30日間発酵。一部樽発酵を行う。4ヶ月間熟成。シチリア島の南西に浮かぶ小さな島、パンテッレリーアにあるアブラクサスは、1999年創業の若いワイナリー。》
※《》内はインポーター資料より
https://www.jetlc.co.jp/wine/brand/
https://japan-salt.co.jp/products/wine/
生産者の情報
https://www.abraxasvini.com/home-en.html
名称 | アブラクサス クッディア・デッレ・ジネストレ ジビッボ・パンテッレリーア・ビアンコ |
英字表記 |
Abraxas Kuddia delle Ginestre Zibibbo Pantelleria Bianco
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生産者 | アブラクサス/Abraxas |
国・産地 |
イタリア・シチリア・パンテッレリーア島
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セパージュ【葡萄の品種】 |
ジビッボ100%
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ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 2013 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 | 白 |
STポイント※1 | 88 |
クラス※2 | ハイクラス |
抜栓 | 2019/11 |