今回おすすめするワインはこちら。
イタリア・ウンブリア州で造られる、コストパフォーマンスの高い一本。ボルドースタイルのワインで、ワイン評論家であるジェームズ・サックリングに、「ウンブリアのサッシカイア※」と絶賛されるほどのワインです。
※ サッシカイア/SASSICAIA
元祖スーパータスカン。30年以上前から圧倒的な存在感を示している一本。2020年現在では2万円以上の価格で取引されていますが、日本へ入ってきた当初は3500円程度(状況によっては2000円程度)でした。高岡師範はこの頃サッシカイアのコストパフォーマンスが高かったためダース買いしたそうです笑
1998年より、メルローの魔術師の異名を持つ天才醸造家、リカルド・コタレッラ/Riccardo Cotarellaが手掛けています。
Mr.メルローとも呼ばれるリカルド・コタレッラは、イタリアワインの歴史を変えた、名門アンティノリが誇るスーパータスカン「ソライア/SOLAIA」や、2001年ワイン・スペクテーター誌のTHE TOP 100 WINESにて世界第1位を獲得した「オルネライア/ORNELLAIA」で活躍する弟を持ち、ガンベロ・ロッソ誌にて、2000年度のエノロゴ・オブ・ザ・イヤー(最優秀醸造家)に選ばれています。
使用されているメルローは、約50年前の古い畑に育つメルローのクローンを選び植樹されたものです。
ブラックベリーのような黒系果実の香り、チョコレートの香り、ブルーベリーやラズベリーなどのジャム、スパイス、タバコ、甘草のニュアンス。ハーブやラベンダーなどのニュアンスも感じられます。味わいは、厚みと品格のある果実味と冷涼なミネラル感が感じられ、タンニンがしっかりとしたストラクチャを形成しています。味わいが開きにくいこともありますが、ポテンシャルの高さが感じられます。余韻は滑らかで素晴らしいバランス。エレガントで格があり、「スーパーウンブリア」と呼ばれることに共感の持てるワインです。
特徴的な身体意識は、センター(細径軸・中径軸・大径軸)、第2側軸、中丹田、中丹田リバース、肩包面、ウォール、転子、舟など。
天性のクオリティを持つセンターは、薄っすらと細径軸が通っています。また、天から頭部の高さ辺りまで中径軸、上腹部の辺りまで大径軸が通っています。上軸の方が強いため、畑の比較的高い標高からの影響と思われます。
サイド・センターは、第2側軸が通っています。天性のクオリティを持つものが天地に通っており、下方向へのモビリティを持っています。さらに、上腹部から転子にかけて、しっかりとしたクオリティを持つ側軸も通っています。これらの側軸はワインの味わいに格を創り出しています。天性のクオリティを持つ側軸については、横から見たときに第3軸の位置を通っているのも興味深いですね。細径軸は弱めで、代わりに側軸がしっかりと形成されていることが、ある種の味わいの受け入れやすさや料理とのマリアージュのための隙間を作っているのかもしれません。側軸についてはまだまだ研究が必要です。
この側軸に沿うように、ウォールと呼ばれる身体意識が形成されています。味わいに存在感やしなやかさを生み出しています。テロワールの涼しい風からの影響を感じさせます。
中丹田は二重構造になっており、そこへリバースが入ってきています。直接太陽から、という感じではないのですが、日照全体に柔らかくかかるようなリバースです。はっきりとしたストラクチャを持っています。
天性のクオリティを持つ肩包面が形成されています。そのすぐ下には、しっかりとしたクオリティを持つ肩包面に似た形状の身体意識も形成されています。このしっかりとしたクオリティの身体意識は、その両脇にある身体意識と併せて味わいに骨格を作っているのですが、熟成とともに柔らかく変化し、心田・心田流の形成へとつながっていくのかもしれません。熟成へのポテンシャルを感じさせる身体意識です。
天性のクオリティを持つ転子が薄っすらと形成されており、そこへ掛かるように「舟※」と呼ばれる身体意識が形成されています。これは砂岩が侵食されて出来た柔らかい浸透性のある土壌の影響でしょうか。冷涼なミネラル感を感じさせ、余韻の滑らかさにも影響を与えています。
※舟(フネ)
身体を重力から切り離して浮身(うきみ)の状態を作り出し、柔軟で多様性に富む自由な運動を可能にする身体意識。精神面でも自由自在な発想が生まれるようになる。
このように身体意識から観ると、全体としてテロワールの持つ魅力を上手く反映させていることが分かります。醸造家リカルド・コタレッラは数多くのワイン造りに関わっていますが、個人の身体意識を主張するのではなく、テロワールの影響を反映させるのが上手い醸造家ということが分かります。
「ワイン造りを始める前に、最低でも1年間その土地のことを研究する必要がある。特に未知の土地であればあるほど面白い。そこから白ワインが生産できるまで5年間、熟成させる必要のある赤ワインはさらに2年長い7年かかる。」と話していることからも、テロワールの魅力を重視していることが伝わってきます。
イタリアワインですが、ボルドースタイルの葡萄のブレンドを行うことにより、伝統的なボルドーワインのクラシック感や格というものの特徴を上手く捉えながらも、飲みやすく受け入れやすいモダンなワインに仕上がっています。沢山の人が楽しめるワインでありつつも、本物を作ろうとする深い意志が感じられる素晴らしいワインです。もちろん料理とも合わせやすい一本です。
同じワイナリーではないのですが、リカルド&レンツォ・コタレッラという兄弟によるプライベートワイナリーで造られる、
モンティアーノ/MONTIANO
はお勧めです。メルロー 100%で造られる一本で、「ガンベロロッソ」「ビベンダ」「ヴェロネッリ」という主要なイタリアワインガイド3誌において3年連続3冠を達成しています。
<2020年12月20日追記>
リアルワインガイド72号にて、スポルトレッティ ヴィッラ フィデリア ロッソの2015年が旨安大賞を獲得しました。徳丸編集長がコメントされており、『この値段が信じられません。』と書かれています。賞を取る前にご紹介できたのと、素晴らしい作り手が評価されて嬉しく思います。
一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。
《スポルトレッティはこの地に何代も続く農家でしたが、本格的にワインを生産するようになったのは1970年代からです。ウンブリア州ペルージャ郊外スペッロからアッシジにかけての丘陵地に僅か26haの畑を所有する、家族経営のワイナリーです。
畑は標高400mという比較的高い場所にあり寒冷期に充分な雨を得る事が出来、夏は日照量が豊かですが、涼風のため、温度が上がり過ぎるという事はなく、理想的な栽培環境であると言えます。1998年よりリッカルド コタレッラがエノロゴとして参画し、高品質のブドウこそが重要という考えのもと、密植度を高め、収量を落とし、この地で育ってきた品種の個性がより表現できるクローンの選択など徹底したブドウ畑の研究と管理を行っており、近年スポルトレッティは劇的に進化を遂げています。
またスポルトレッティは時代に先駆けたグリーンエネルギープロジェクトを推し進めています。2007年よりワイナリーの屋根の上に太陽光を蓄積するパネルを作り化石燃料を使用せずに、太陽光から電気エネルギーに変換する設備を造りました。スポルトレッティは可能な限り環境への影響を考慮しています。伝統と革新、自然と技術の調和を目指すイタリアでも最も近代的なワイナリーのひとつである言えます。
標高400mのスペッロとアッシジに位置する6haの畑、樹齢約17-18年の樹から。土壌は元々の砂岩が侵食されたことにより、柔らかく薄いため浸透性に優れている。収穫された後、すぐにワイナリーに運ばれ除梗。温度管理されたステンレスタンクで15日間マセラシオン、発酵。その後228リットルのフレンチオークでマロラクティック発酵させ、そのまま12ヶ月かけて清澄。瓶熟最低24ヶ月。
ヴィッラ フィデリア ロッソ
ブラックベリージャムやタバコ、スパイス、リコリス、チョコレートなどの複雑味のある香り。リッチでエレガントな味わい、完璧にバランスのとれた滑らかなタンニン、深みのある長い余韻。》
※《》内はインポーター資料より
http://www.odexjapan.co.jp/
生産者の情報
https://sportoletti.com/
名称 | スポルトレッティ ヴィッラ フィデリア ロッソ |
英字表記 |
Sportoletti Villa Fidelia Rosso
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生産者 | スポルトレッティ/Sportoletti |
国・産地 |
イタリア・ウンブリア
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セパージュ【葡萄の品種】 |
メルロー70%、カベルネ・ソーヴィニョン20%、カベルネ・フラン10%
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ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 2014 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 | 赤 |
STポイント※1 | 86 |
クラス※2 | レギュラークラス |
抜栓 | 2020/03 |