今回おすすめするワインはこちら。
銘醸地であるカリフォルニア・ナパ ヴァレーのワイナリー「ケンゾー エステート/KENZO ESTATE」が造るソーヴィニヨン・ブランの最高峰。「あさつゆ」という名前がこのワインの特徴をよく表しています。
ワインラベルに書かれている「ESTATE BOTTLED」とは、葡萄栽培から醸造、樽熟成、瓶詰め、出荷までの全工程を自社管理している、100%自社製造のワイナリーに対して米国政府から与えられる称号です。
オーナーの辻本憲三氏はゲームメーカー「CAPCOM」の創業者。1990年に購入した470万坪の土地は、元々はユーザーがインドアの遊びに偏らないよう、アウトドア志向の事業展開を模索した土地でしたが、その地が葡萄栽培にとって理想的な環境であることを知り、ワイナリー設立へとつながっていきます。
葡萄栽培家には、パーカーポイントで100点満点を6度取っているカリフォルニア・カルトワイン「ハーラン エステート/Harlan Estate」を手掛けたカリスマ栽培家、「デイビッド・アブリュー/David Abreu」、醸造家には、カリフォルニア・カルトワインの頂点に君臨する「スクリーミング イーグル /Screaming Eagle」を手掛けたワインの女神と称される「ハイディ・バレット/Heidi Barrett」、という強力なチーム体制。
「デイビッド・アブリュー/David Abreu」はチームに加わる条件として、その時すでに植えられていた14万本の葡萄の樹をすべて引き抜いてゼロから畑を作り直すことを提示、それをオーナーが受け入れ今に至ります。オーナーとデイビッド・アブリューの、最高のワインを造りたい、という情熱が伝わってくるエピソードですよね。
デイビッド・アブリューは、オーナーがワインについて学びたいと伝えときに、とにかく一流のワインをたくさん飲んでみるよう勧めたそうです。そこで、オーナーは、1本1万円以上のワインを1万本揃え、飲み比べしていったそうですが、ケンゾー エステートのワインがリリースされてからは、他のワインは飲まなくなったそうです。理由は、ケンゾー エステートのワインが1番美味しいから。購入したワインは5000本ほど残っているそうです笑
オーナーの経営的な側面では、日本へ直営店を設けることで、ワインの不必要な価格高騰を抑え、グラス一杯から飲むことができる環境を整えるという取り組みをしています。
以前ご紹介させていただいた、ケンゾー エステートの「紫鈴 rindo」と「明日香 asuka」の記事では、ワイナリーの詳細については掲載していませんので、今回掲載することにしました。それぞれのワインの分析についても現在よりも簡潔なものとなっていましたので、詳細な分析を追記しています。よろしければそちらの記事もご覧ください。
さて、あさつゆ/asatsuyuですが、テロワールとソーヴィニヨン・ブランの特徴をよく引き出しており、素晴らしい味わいです。セパージュはビンテージにより異なり、過去にはソーヴィニヨン・ブラン100%のビンテージもありましたが、現在はソーヴィニヨン・ブラン主体で、数%セミヨンをブレンドするのが主流のようです。
初めて飲んだ時の印象は、
品種は?ソーヴィニヨン・ブラン?!
ここまで要素が多く厚みが出るものなのか!
という感じでした。
ケンゾー エステート公式WEBサイトの「あさつゆ/asatsuyu」のページには
「夜明け前に畑に降りた朝靄が葡萄の葉に残した朝露は、朝日を浴び、美しく煌めく。そんな透明感を持つ」とありますが、まさに的確な表現だと思います。
清涼感のある柑橘系果実の香り、白系の花や蜂蜜のニュアンス。味わいは、爽やかで心地よい酸と厚みのある果実味があり、主張しすぎないミネラル感が柔らかな酸と合わせてストラクチャを作っています。ほのかに甘みも感じられ、味わいに満足感と複雑さを与えています。余韻も長く、ソーヴィニヨン・ブラン主体のワイン、という固定観念には収まりきらないスケールの大きさとポテンシャルを秘めています。葡萄の葉から溢れるピュアなあさつゆが、朝日に照らされて輝いているかのような情景が浮かんでくる素晴らしいワインです。
特徴的な身体意識は、センター(中径軸・大径軸)、第2側軸、中丹田、温球、太陽からのリバース、ガイアのクオリティなど。
天性のクオリティを持つセンターは、中径軸と大径軸が通っており、大径軸は上部がロート状になっているものも形成されています。ビンテージや飲むタイミングによっても異なるのですが、若い頃はロート状の大径軸が強く、熟成とともにその規模が大きくなり、天地に抜け通っていく傾向があります。おそらく、さらに熟成させると細径軸が通ってくる可能性が高いと思います。
天性のクオリティを持つサイド・センターは、第2側軸が通っています。センターから来る爽快感とはまた違った爽快感を味わいへ与えています。
頭部へは天性のクオリティを持つシャワーが降りてきています。この身体意識もセンター系とはまた違った爽快感を生み出しています。
中丹田は三重構造になっており、そこへ太陽からのリバースが入ってきています。中丹田の周りには大きな温球も形成されています。味わいへ厚みや満足感を生むこれらの身体意識は、テロワールからの影響を感じさせます。
ソーヴィニヨン・ブランの特徴的な青い香りと深く関係する、ガイアのクオリティも豊かに入ってきています。このガイアのクオリティは、ロート状大径軸から流れ下るように入ってくるもの、胸へ直接入ってくるものなどがあります。テロワールの豊かさを感じさせる身体意識です。
このように身体意識から観ると、全体としてテロワールの特徴と「あさつゆ」のイメージが本質的によく現れていると言えます。夜明けとともに、太陽の光が葡萄の葉とそこへ美しく乗っている朝露を照らし、美しく輝いている情景が浮かんできます。身体意識図には線として描いていませんが、きらきらと輝くようなクオリティも持っています。このような美しい情景を、情景ごと全身で味わっているかのような感動を覚える素晴らしいワインです。
ケンゾー エステートのワインはどれも素晴らしい完成度ですが、中でも
フラッグシップに位置づけされる、ボルドースタイルのブレンドワインである、
「紫鈴 rindo」
と、
天候に恵まれ、秀逸なカベルネ・フランを豊富に収穫できた年のみ造られる、
「明日香 asuka」
は特にお勧めです。
この二本とあさつゆは高岡師範のお気に入りのワインです。初リリースは2005年ビンテージ(あさつゆは2007)ですが、高岡師範が注がれると、まだ見ぬ熟成後の真価を垣間見ることができ、これからますます期待が持てるワイナリーと言えます。
一般的な味わいなどの詳細は、生産者WEBサイトより抜粋します。
《■最上級のエレガンスを醸し出す、香り高きプレミアムワイン
豪華客船「飛鳥Ⅱ」の公式ワインとして、また ANA国際線ファーストクラスのワインとして選ばれるなど、メインブランド「紫鈴 rindo」を筆頭としたケンゾー エステイトのワインは、2008年の初リリース以降、高い評価を受け続けている。日本人オーナー辻本憲三が、栽培家デイヴィッド・アブリュー、醸造家ハイディ・バレットという世界を代表する名匠と共に生み出したプレミアムワインは、自然豊かなケンゾー エステイトのテロワールを素直に映し出す、最上級のエレガンスを体現した逸品なのだ。
■100%自社製造のエステイトボトル
ケンゾー エステイトのワインは、葡萄の栽培から醸造、樽熟成、瓶詰めまでを自社で管理し、ワインを出荷するまでの全工程を完全に敷地内で行うことで、米国政府の厳正な審査を経て、100%自社製造の優良なワインに与えられる「エステイトボトル」の称号を得ています。ワインラベルに表示された「ESTATE BOTTLED」の文字がその証なのです。
■土壌について
□手付かずの荒野が秘める豊かな大地への希望
日本人オーナー辻本憲三が、プレミアムワインのメッカ、カリフォルニア州、ナパ・ヴァレーに誕生させたワイナリー「ケンゾー エステイト」。手付かずの自然が残る470万坪の広大な山上の土地を購入したのは1990年、そこからファーストヴィンテージの2005年まで、並々ならぬ苦悩を超えて世に出たワインは、多くのワイン愛好家から高い評価を受けています。ナパ・ヴァレーという銘醸地の中でも豊かな自然の残る最上の場所、そこでワインづくりに取り組む世界最高峰のスタッフ、そして何よりも世界一のワインを生み出すという辻本憲三の情熱。「一人でも多くの人に最高のワインを届けること」、その理念のもと、今日もケンゾー エステイトは純粋なナパの大地で、最高のワインづくりに取り組んでいるのです。
■テロワール
□ナパの大自然に守られ、純粋な葡萄を育むワイナリー
ワインを語る時に欠かせない言葉、“テロワール”。地形や地質、気候といった要素が複雑に絡み合って形成される、ワインづくりを取り巻く環境全体を意味するこの概念は、ケンゾー エステイトのように、特定エリアで栽培された葡萄のみから作られるワインにとって、ワインの品質を左右する大きな要素となります。そしてケンゾー エステイトにとってのテロワールとは、広大で純粋な自然環境に他なりません。栽培ノウハウや醸造技術と違い、決して真似をすることのできない類まれなテロワールゆえに、ケンゾー エステイトのワインは、他の追随を許さない唯一無二の個性を保っていられるのです。
□四方を山々が取り囲む広大な自然
470万坪という広大な敷地を持つケンゾー エステイト。その中で葡萄畑が占めるのはわずかに5%。厳選された良質な土壌で葡萄は栽培されているのです。敷地の大半は、鹿、兎、七面鳥といった野生動物が息づく、手つかずの大自然です。ゲートをくぐり、広大な森を抜けて葡萄畑に辿り着くまで、その距離およそ2キロメートル。ワイナリーを取り巻く緑豊かな森や湖が、車の排気ガスや街での排水などから畑を隔絶し、純粋な葡萄を育んでいるのです。葡萄畑を守るためだけに、緑豊かな敷地の大半を手つかずのまま残すこと、それはだれにも真似することのできない、ケンゾー エステイトならではのこだわりなのです。そのおかげで、ここでは、澱みのない、純粋な葡萄を育むことができるのです。
□ 果実の熟成を導き出す温暖な気候
ナパ・ヴァレーが世界的な銘醸地として名高いのは、何と言ってもその卓越した気候条件にあります。冬の雨季と春から秋にかけての乾季が明確に分かれ、ちょうど乾季と葡萄の成育期間が重なって、その間、降水量が少なく温暖な気候が続くため、凝縮感のある果実味豊かな葡萄が生み出されるのです。さらに、ナパ・ヴァレーの中でも海抜の高いケンゾー エステイトは比較的冷涼なため、収穫時期が他のワイナリーよりも遅くなる傾向にあります。そのため、ゆっくり時間をかけて葡萄が成熟する分、ナパ・ヴァレーの太陽の恵みを存分に受けながらも、糖度、酸、タンニン、風味のバランスの取れた、エレガントな葡萄が育つのです。カリフォルニアワインらしい豊かな果実味と、様々な味わいのバランスがもたらす洗練さを併せ持つケンゾー エステイトの個性は、葡萄栽培に理想的なナパ・ヴァレーの気候とケンゾー エステイト固有の環境の相乗効果によってもたらされているのです。
□ 自然の営みが作り出す幻想世界
漆黒の闇が薄らいでいくに従って、次第に輪郭を見せる森の奥から、音もなくにじり寄る白い朝靄。やがて、森そのものを包み込み、乾燥した気候の中にあるワイナリーに貴重な潤いをもたらしています。朝靄の出る朝には、高台に登ってみるといいでしょう。そこから、雲海のような朝靄の中にぽっかりと浮かぶ山々と、真っ白なのヴェールに包まれて神秘的な様相を見せる葡萄畑を見渡せることでしょう。やがて日が昇り、朝霧が消えた後、葡萄には清らかな朝露が残り、その澱みない天然の雫が限りなく純粋な葡萄を育んでいくのです。
■葡萄畑
□綿密に設計された葡萄樹の縞模様
最高のワインをつくれるかどうか、その成否を何よりも分かつのは、良質な葡萄を得られるかどうかということに尽きます。ゆえにケンゾー エステイトのこだわりが最も表れているのが、最高の葡萄を実らせるために、完璧な管理を施している葡萄畑なのです。栽培を最大限効率良く行うために、緻密な計算に基づきて杭を立て、ワイヤーを張り、寸分の狂いもなく等間隔に樹が植えられた畑は、どこをとっても端から端まで整然と列をなし、澄み渡る青空とのコントラストと相まって絵画のように美しい縞模様を描き出していきます。近づいて良く見ると、1枚1枚の葡萄の葉は、いずれの樹においても、同じ方向を向き、同じような形状に広がっています。他所で目にするどの畑とも違って、そこには、まるで茶畑を見るような、流麗で整然とした美しさがあるのです。
□ A. ワイルドホース・ヴァレー ヴィンヤード
ケンゾー エステイトで最初に開梱された区画が「ワイルドホース・ヴァレー ヴィンヤード」。起伏に富んだその地形には、緩やかな斜面を描く丘が多く、爽やかな風が畑へと流れ込むことで、葡萄作りに最適な環境を保っています。昼間は日照量が豊富で温暖な場所ですが、その一方で、海抜が高く、ベイエリアからの海風も届くと合って、夜間は驚くほど冷涼になります。しかし、そんな昼夜の寒暖の差が芳醇な葡萄を育む好条件となるのです。そのためこの区画で取れる黒葡萄は、状態が良く艷やかで、ケンゾー エステイトのトップキュベである「藍」「紫」に多く用いられています。
□ B. ザ・ポロ・フィールド ヴィンヤード
以前、ポロフィールドがあった平野を開梱して作られた畑。ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンとしった白葡萄を中心に、多様な葡萄品種を栽培しています。昔の名残もあってか、この場所には、今も乗馬クラブが存在しています。
□ C. ウッデン・ヴァレー ヴィンヤード
ゲートを出た近隣のエリアにあり、見晴らしの良い広大な平原を開梱した比較的新しい畑。日照時間も長く、マルベックやカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適していて、今後も拡張が進められる予定です。
■栽培品種
□ 葡萄ごとに最適な畑へ
畑は細かくブロックに分けられて管理されており、各所で微妙に異なる気候や土壌、地形に従ってに最適の葡萄品種が植えられています。緩やかな稜線を描き出す山頂の土地に位置するケンゾー エステイトの葡萄畑は、起伏に富んだ地形とサン・パブロ湾から吹き上がってくる清涼な風と相まって、畑の中でも場所により微妙な気候の違い(マイクロ・クライメット)を作り出しています。そのため、ブロックごとの特性を見極め、慎重に栽培品種を選択することが非常に重要です。「最適な品種を最適の場所に」という葡萄栽培の基本を忠実に守っているからこそ、ケンゾー エステイトの畑では、上質な果実が実るのです。
□ カベルネ・ソーヴィニヨン
赤ワインに骨格をもたらすボルドー品種の代表格
力強いタンニンと豊富な酸を含み持ち、ワインに堅牢な骨格を与えるボルドー原産の黒葡萄品種、カベルネ・ソーヴィニヨン。ワインの歴史の中で数多くの名品を生み出してきたこの黒葡萄は、ケンゾー エステイトの赤ワインづくりにおいても非常に重要な品種であり、栽培面積も最も大きい。フラッグシップワイン『紫鈴 rindo』の主体となるのもこの葡萄ですが、中でも最良の葡萄は、プレステージ・キュベ『藍 ai』として花開きます。晩熟のため、最後に収穫されるこの葡萄は、ナパの太陽の恵みを存分に受けながら、豊富なフェノール類と香味成分を蓄えるため、ケンゾー エステイトの赤ワインの骨格となり、深みある味わいをもたらします。
□ メルロ
エレガンスな赤ワインを生み出す果実味に溢れる葡萄
カベルネ・ソーヴィニヨンに比べてやや早熟なボルドー原産の黒葡萄品種。高い糖度と穏やかな酸、柔らかなタンニン、そして豊かな果実味を特徴とするこの葡萄は、カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドでは大きな役割を果たします。力強さを身上とするカベルネ・ソーヴィニヨンの個性に優しく寄り添い、その堅牢な骨格を柔和かつふくよかな味わいで包み込み、ワインに豊かな肉付きを与えるのです。ケンゾー エステイトの赤ワインでは、『紫鈴 rindo』『藍 ai』にもブレンドされていますが、最もブレンド比率が高いのは『紫 murasaki』。このワインの、何よりも優雅な個性を作り出すのに、メルロが大きな役割を担っているのです。
□カベルネ・フラン
無二の華やかさを醸し出す香り豊かな葡萄
ボルドー原産でカベルネ・ソーヴィニヨンの親品種にあたるカベルネ・フランは、ボルドータイプのワインでは、一般的には補助的な品種としてブレンドされます。ケンゾー エステイトにおいても、特にフラッグシップの『紫鈴 rindo』には20~30%ほどブレンドされ、繊細でしなやかな果実味を与えています。しかし、ケンゾー エステイトのカベルネ・フランはブレンドの脇役に留まってばかりではいません。単に香りつけの補助品種として扱われるカベルネ・フランですが、ケンゾー エステイトでは理想的な完熟を果たし、その魅力を見抜いた辻本憲三がメイン品種として取り扱うことを決意したのです。そして誕生したのがケンゾー エステイト第4の赤ワイン『明日香 asuka』。カベルネ・フランで高級ワインを作るのは難しいという、ワイン業界でまことしやかに語られる常識も、その華やかさと芳醇さの前には霞んでいくことでしょう。
□ ソーヴィニヨン・ブラン
特別な個性が花開いた白ワイン用のボルドー品種
ケンゾー エステイト唯一の白ワイン『あさつゆ asatsuyu』を生み出す品種ソーヴィニヨン・ブラン。同じカリフォルニアでもソノマでは、白ワインと言えばシャルドネを主流として葡萄作りを行っていますが、ボルドースタイルのナパ・ヴァレーでは、白ワインと言えば、ソーヴィニヨン・ブランの栽培にこだわています。中でもケンゾー エステイトの土壌は、ソーヴィニヨン・ブランの栽培に適していて、事実、同じクローンの苗木を他のワイナリーで栽培しても、『あさつゆ asatsuyu』に並ぶ個性が発揮された例は未だありません。芳醇にして爽快、そして確固としたミネラルを併せ持つ、何よりもピュアなその味わいは、ケンゾー エステイトの純粋な自然環境なしには得られない唯一無二の個性なのです。
□ マルベック
赤ワインに深みと複雑さを与える葡萄
この葡萄単体で造られる赤ワインは、ボルドーなどではブラックワインと言われるほど色が濃く、独特の風味をもっています。その個性故に補助品種として用いられることが多いのです。ケンゾー エステイトでは、赤やロゼワインに使用されており、ワインに深みと複雑さをもたらす重要な役割をはたしています。
□ プティ・ヴェルド
赤ワインの果実味を引き出すアクセント
この葡萄は濃いタンニンとスパイシーな香りを特徴としています。ボルドーブレンドのワインにおいては、ブレンド比率はそう高くはありませんが、まさに料理におけるスパイスのように、ワイン全体の味わいにアクセントを加え、果実味を引き立たせるという意味で、重要な役割を果たしています。
□ セミヨン
膨よかさをもたらす甘美な白葡萄
糖度が高く穏やかな酸味が特徴的な、ボルドー原産の白葡萄品種。洋梨や蜂蜜のような芳香をもつセミヨンを、ソーヴィニヨン・ブラン主体の白ワイン「あさつゆ」「夢久」「清」に少量ブレンドすることで、優美で気品漂う上質でエレガンスなワインへと昇華させるのです。
■ワイナリーマップ
□純粋なワイン造りに取り組む、小さな村
醸造所、ケイブ、テイスティング棟、どこを見てもケンゾー エステイトの建造物には、フランスのシャトーのように華美なところは一つもありません。木材や石を活用して造られたシンプルな建物は、山々と森、そして葡萄畑といった背景に溶け込むかのごとく、控えめに佇んでいます。それは、ワイナリーの自然環境こそがワインづくりの主役であるという、ケンゾー エステイトの哲学の表れなのです。その哲学はここに働く人々にも浸透し、自然に寄り添い、純粋なワインづくりに取り組んでいます。そう、まるで一つの小さな村のように。
□ 醸造所
純粋な葡萄が集まる温もりのある醸造所
木の壁と勾配のある屋根を持つ2棟の山小屋。春夏は静かなこの場所も、例年9月ともなると、収穫が始まり俄然活気を帯びてきます。摘み取られた果実はすぐにここへと運ばれ、白葡萄は、圧搾機にかけられて、果汁が搾り取られていきます。その後、果汁はステンレスタンクの中に移され、天然酵母の作用によって、アルコール発酵させます。一方、黒葡萄は、除梗し、傷のない果実だけを人の手で選別し、重力で自然にステンレスかコンクリートのタンクへと移していきます。その発酵タンクで、ポンプオーバーやパンチダウンという果皮とジュースを混ぜ合わせる作業を繰り返していくのです。これによって、香りや色合いが引き出されていきます。そして、きめ細かなタンニンが抽出されるように促しながらアルコール発酵を進めていくのです。
□ ケイブ
自然の冷気でワインの熟成を見守る洞窟
ケンゾー エステイトでは、小高い丘を掘削して造られたトンネル状のケイブの中で、白ワインなら6カ月間、赤ワインなら20カ月もの間、樽熟成を行います。この丘では、生い茂る木々が日中の太陽熱を吸収してくれるため、地中のケイブは、自然の冷却効果で摂氏12~13度の適温を維持しています。また、ふたつの入口を有するケイブは、丘の下で碁盤目状に広がっているため、通気性も抜群。ワインの熟成に最適な環境が、まさに自然の営みによって生み出されているのです。
□ テイスティングルーム
大地の恵みをその場所で愉しむ贅沢
この美しい葡萄の里で、ビジターを温かく迎え入れてくれるのがこのテイスティングルーム。そこには、このワイナリー独自の美学が貫かれています。まず、石造りの床やオークの木目が美しいカウンターなど、その空間美に驚かされることでしょう。畑を一望できる開放感に溢れたパティオでは、優雅なワイン・テイスティングを愉しむことができます。ただそれ以上に印象的なのは、きめ細やかに心を配る真摯なおもてなしの姿勢。そのエレガンスこそが、ケンゾー エステイトの真髄なのです。
■あさつゆ asatsuyu
夜明け前に畑に降りた朝靄が葡萄の葉に残した朝露は、朝日を浴び、美しく煌めく。そんな透明感を持つケンゾー エステイトの白ワインは、ハイディ・バレットが手掛けた初のソーヴィニヨン・ブラン。清涼感と芳醇さを併せ持ち、3年連続、全米でのベスト・オブ・ソーヴィニヨン・ブランの栄誉に輝い名品。
□あさつゆ asatsuyu 2019
【外観】透明感のある淡いイエローゴールド
【香り】シトラス、スイカズラ、熟した白桃、蜂蜜に石灰岩のニュアンスが織り混ざった芳しい香り
【味わい】すっきりとした酸が際立ち、メロンやライムゼストなどの果実味に、樽由来のほのかなバニラを感じさせる
【セパージュ】ソーヴィニヨン・ブラン91%、セミヨン9%
□あさつゆ asatsuyu 2014
【外観】輝きのあるレモンイエロー
【香り】トロピカルシトラスのような爽やかな柑橘の香りが広がり、後半から蜂蜜の甘い香りが白薔薇のニュアンスと混じり合い、華やかな印象を与える。
【味わい】爽やかで心地良い酸とともに、メロンやグアバのような果実の甘みを感じさせる。セミヨンをブレンドしたことにより立体的な骨格を与え、さらに厚みのある凝縮感をもたらしている。長く続く余韻が心地よく良質なヴィンテージであることを物語っている。
【セパージュ】ソーヴィニヨン・ブラン96.2%、セミヨン3.8%
□あさつゆ asatsuyu 2013
【外観】輝きのあるレモンイエロー
【香り】ピンクグレープフルーツ、レモンピール、カシスの新芽の軽快で爽やかな香りとともにグレープフルーツの皮のようなビターなニュアンスも漂う。後半からは黄色い花、はちみつなど、香りの要素が複雑に交じり合い、華やかな印象を与える。
【味わい】清々しいフレッシュな酸とともに果実味の甘み、かすかな塩味がこのワインに立体感を与え、さらに厚みのある凝縮感を感じさせる。アフターにほろ苦さを残し、さらに余韻が長く続く、秀逸なヴィンテージであることを予感させる。
【セパージュ】ソーヴィニヨン・ブラン100%
■ 紫鈴 rindo
ケンゾー エステイトのフラッグシップに位置づけされる、ボルドースタイルのブレンドワイン。紫は高貴なものを示す色。ここでは上質な葡萄を象徴する。鈴は鈴なりの略。つまり、「紫鈴」とは、葡萄が鈴なりに実るワイナリーの畑そのものの姿を表す。それは藍紫色の釣鐘を吊るす可憐な竜胆の花にも似て、しなやかでたおやかな魅力を秘めている。
■ 明日香 asuka
天候に恵まれ、秀逸なカベルネ・フランを豊富に収穫できた2009年に、この赤ワインは誕生した。明日に香るという名は、まさに風味豊かなカベルネ・フランの特徴を言い得ている。2018年には、アメリカワイントップ100の1本にも選ばれた銘品。「明日香」という言葉には、清浄な地、神聖な場所という意味を含み持ち、この葡萄の上質感や純粋さを例えてもいる。
■ 藍 ai
藍染めの色は、紫に比べ、より深く、鮮やかな印象をもたらす。カベルネ・ソーヴィニヨン主体のこのワインも、純度の高い葡萄の凝縮感を鮮烈に感じ取れる逸品。洗うほどに色が冴え、歳月を重ねる度に色が変化する藍染めにも似て、長期熟成により、まろやかに変化する繊細な表情が秘められている。
■ 紫 murasaki
メルロを主体としたボルドー右岸スタイルのワインとして高く評価されている赤ワイン。「紫」の名は、紫屋の異名を持つ江戸の浮世絵師、歌麿から発想されたもの。藤色から小豆色まで多彩な色使いに表情があったように、長期熟成型のこのワインにも、熟成が進むに連れ、その香りや味わいを微妙に変化させていく美徳が密やかに息づいている。
■ 結 yui
年間生産量がわずかな希少なロゼワイン。気品に満ちたローズピンクが美しく、チェリーや木苺の香りを放ち、清涼感のあるドライな味わいが魅力の逸品だ。人と人を結び、心と心を繋ぐ、そんな相互扶助の精神を宿すその名は、ケンゾー エステイトの葡萄作りを支える人々の絆を表している。
■ 夢久 muku
理想的な状態に育った白葡萄のみを厳選し、収穫時期を遅らせ1ヶ月間過熟させると、燦々と降り注ぐ日差しを浴びて、葡萄の果皮が美しいゴールデンブラウンに変化し、果実の糖度も上がっていく。「夢久」はそんなレイトハーベストの葡萄からつくられる甘美で果実味豊かな白ワイン。口にする度、覚めない夢を見てるような幸福感を覚えるだろう
■ 清 sei
豊かな果実味と爽やかな飲み口、繊細な泡が優しくなめらかで、ソーヴィニヨン・ブランの持つ可能性を最大限に引き出したスパークリングワイン。「清」という文字は、大将(父親)を意味する青と、その傍らで跳ね回る3人の子供たちを思い起こさせるさんずいで組み立てられている。そんな文字には、ケンゾー エステイトの家族を重んじる絆の思想が込められている。》
※《》内は生産者WEBサイトより
http://www.kenzoestate.jp
生産者の情報
http://www.kenzoestate.jp
名称 | あさつゆ【asatsuyu】ケンゾー エステート |
英字表記 | asatsuyu KENZO ESTATE |
生産者 | ケンゾー エステイト/KENZO ESTATE |
国・産地 | アメリカ・カリフォルニア・ナパ ヴァレー |
セパージュ【葡萄の品種】 | ソーヴィニヨン・ブラン96.2%、セミヨン3.8%(2014) |
ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 2014 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 | 白 |
STポイント※1 | 94 |
クラス※2 | スペシャルクラス |
抜栓 | 2018/01 |