イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ/Il Carbonaione Alta Valle della Greve Podere Poggio Scalette 〜おすすめワインリスト〜

イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002

今回おすすめするワインはこちら。

イタリアワイン界の重鎮、ヴィットリオ・フィオーレが手掛ける一本。

ヴィットリオ・フィオーレはスター・エノロゴ(醸造家)の先駆者的存在で、イタリア醸造技術協会理事や国際醸造家組合執行委員という要職を歴任してきました。彼が妥協を許さず『最高のものを一種類だけ』という理想のもとに造ったワインが、この「イル・カルボナイオーネ」です。

最高樹齢70年以上の古樹を含む畑には、サンジョヴェーゼ・ディ・ラモーレ種と呼ばれる現在では殆ど栽培されていない葡萄品種が植えられています。この葡萄品種はフィロキセラによる葡萄壊滅以降、最初に植えられたサンジョヴェーゼのオリジナルで、この畑で栽培されているサンジョベーゼ全体の80%を占めています。

サンジョヴェーゼ・ディ・ラモーレ種はこの土地の特殊な土壌、他のキャンティ地区(石灰質、ガレストロ質)とは異なる砂岩質、砂質が主体の水捌けの良い土壌との相性により、メルローのような柔らかさ、滑らかさを持ちます。

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果房や果皮と果汁の接触をよりスムーズに行わせるため、上面の表面積が広いステンレスタンクを使用。瓶詰めの際、無造作に空気に触れる事で香りを損なわせないため、密封式ボトリングシステムを採用しています。

イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002_1
イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002_1
イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002_2
イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002_2

チェリーやラズベリーなどの赤系果実の香り、ブラックベリーなどの黒系果実の香り、甘草、ローズマリーなどのハーブ、ローストされたアーモンドのニュアンス。僅かにスパイスのニュアンスもあります。味わいは、熟成により滑らかになったタンニン、豊かでゆったりとした自然な果実味があり、酸とミネラル感もほどよく、構造を感じさせます。力強さよりも柔らかさが目立ち、それが余韻まで品よく続きます。熟成したものは、上質なオレンジがプカプカと浮かんでいるかのような味わいがあり、楽しい気持ちになります。

イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002_3
イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002_3

特徴的な身体意識は、センター(中径軸・大径軸)、上丹田、上丹軸、中丹田、温球、心田・心田流、肩包面、波状の身体意識、背中に入ってくる前方力など。

天性のクオリティを持つセンターは、大径軸と中径軸が通っています。大径軸は上部がロート状(上ロート軸)になっており、その中に中径軸が通っています。中でも大径軸はかなりの存在感を生み出しており、イタリアワイン界の重鎮と呼ばれ、世界的視野からワインを学んできたヴィットリオ・フィオーレの身体意識が反映されたものだと推測できます。

上丹田も見事に形成されており、そこへ天性のクオリティを持つ上丹軸も形成されています。これらの身体意識もヴィットリオ・フィオーレの身体意識が反映されたものでしょう。ここだけ観ても、優れた身体意識を持つワインは優れた造り手が生み出すということがよく分かります。

中丹田は小型でシンプルながら強力なものが形成されており、その周囲には大きな温球が形成されています。豊かで柔らかな果実味を生み出しています。

中丹田へ、地下から熱性のクオリティを持つ身体意識が入ってきています。これは砂岩質、砂質の土壌と葡萄品種の相性の良さが影響していると考えられます。

天性のクオリティを持つ肩包面が形成されています。造り手のスケール大きさが反映されたものでしょうか。また、天からは肩包面の外側と重なるように天性のクオリティを持つ身体意識の流れが気持ちよく降りてきています。これらは肩包面と併せて強力な熱性のエネルギーが頭部へ上がってくるのを防ぐ働きがあり、充実感のある豊かな果実味がありつつもスッキリとしている、という味わいを生み出しています。

肩包面の下、中丹田の上部と重なるように波状の身体意識が形成されています。かなり特徴的な身体意識であり、このワインの味わいへオレンジがプカプカと浮いているかのような印象を与えています。若い頃はあまり感じられないため、熟成と共に発達してくる身体意識と思われます。

脇に形成された心田・心田流は天性のクオリティを持ち、細い流れで入ってきています。上品な涼やかさを生み出しています。この天性のクオリティを持つ心田に重なるように温性のクオリティを持つ心田も形成されていますが、下方から入ってくる流れはあまり感じられませんでした。熟成に伴い、熱性→温性→天性と、クオリティが変化していく過程なのかもしれません。

背中側からは斜め下方から突き上げてくるように天性のクオリティを持つ身体意識が入ってきおり、前方へ進む力、前方力を生み出しています。この身体意識も造り手の身体意識が反映されたものでしょう。

BA_イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ
BA_イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ

このように身体意識から観ると、色濃く造り手の身体意識が反映されたワインということが分かります。その身体意識をベースとして、葡萄と土壌の良さを引き出しています。一方、テロワールからの影響ももちろんあり、天から降りてくる身体意識の流れや天性のクオリティを持つ心田・心田流などは、標高の高さから生まれる昼夜の寒暖差による影響とも考えられます。常時風が吹いている環境であり、21時近くになっても、葡萄は太陽光を受けながらも涼しい状態に置かれているため、天性のクオリティと熱性・温性のクオリティの身体意識のバランスが良いのでしょう。さらに、設備的なことでいえば、上面の表面積が広いステンレスタンクを使用していることが、中丹田上部の波状の身体意識や、上ロート軸の形成を促進しているとも推測できます。素晴らしいワインですので、ぜひ熟成させて味わってみてください。

2012年6月に抜栓した2003年ビンテージについて、高岡師範からは、
「1970年代の上手く熟成されたトスカーナワインは素晴らしく美味しかったが、それを少し思い出す。」
とのコメントをいただいております。

イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002_4
イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ_2002_4

この造り手の他のワインとしては、
メルロー100%で造られる極小生産ワインである
ピアントナイア/Piantonaia
や、
ボルドー4品種のブレンドで造られる
カポガット/Capogatto
そして
2009年からリリースされた「イル カルボナイオーネ」のセカンドワイン
キャンティ クラシコ/Chianti Classico
がお勧めです。

一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。

イタリアワイン界の重鎮 ヴィットリオ・フィオーレ氏 による希少品種、サンジョヴェーゼ・ディ・ラモーレの集大成 「イル・カルボナイオーネ」 の醸造元

「ヴィットリオ・フィオーレ」を抜きにしてイタリアワインを語ることはできない

1964年にミラノでコンサルティング・ワインメーカーの仕事を始め、多くの蔵のコンサルティングを行いイタリアワインの品質向上に寄与、イタリア醸造技術協会理事や国際醸造家組合執行委員という要職をも歴任してきた、イタリアワイン界の重鎮、“スター・エノロゴ”の先駆者的存在。
それがヴィットリオ・フィオーレ氏です。

そして、そんな彼が自身の足で探し出した畑のブドウから、40年にも及ぶ経験を生かしたワイン造りを行う彼自身のワイナリー、それが「ポデーレ ポッジョ・スカレッテ」です。

イタリアワイン業界自体の将来を背負い、世界各国を飛び回っていたフィオーレ氏でしたが、1978年、病気がちな妻の体調を思い、環境の良いトスカーナに移り住むことを決心。以来、その経験と知識を集約させた自身のワインを造るべく畑を探し始め、遂に1991年、 グレーヴェ・イン・キアンティ地区、ルッフォリに理想の畑を見つけ出しました。
その名が “ イル・カルボナイオーネ ”。この小さな農園で、今ではほとんど存在しないといっても過言ではないキアンティ・クラッシコの有名なクローン「サンジョヴェーゼ・ディ・ラモーレ」と出会ったのです。フィオーレ夫妻はその畑を購入。そして、集大成ともいえるワイン「イル・カルボナイオーネ」を完成させたのは、翌1992年のことでした。 その後、1996年には、新たに隣接していた建物(現在のカンティーナ)と土地を購入、2003年にも4Haの土地を購入しました。

イタリアワイン業界で無くてはならない存在

イタリア・ワイン界の重鎮、ヴィットリオ・フィオーレ氏。イタリア・ワイン界が大きく変動する1970年代、いわばイタリア・ワインの「ルネッサンス時代」を迎える以前からワイン業界に貢献し、激動の時代を実際に見てきた、まさに「イタリア・ワイン界の生き字引」。

フィオーレ氏がこの業界に入った頃のイタリア・ワインは、「質より量」を追い求めた造りだった。当時は酸が強くて味が薄い北の産地のワインと、果実味が豊かだが酸がない南の産地のワインを混ぜて、味をおぎなう造りをしているような有様でだった。

その後1970年にイタリア醸造技術協会勤務、理事として世界各国を回るようになり、様々なワインを飲み、世界中に知人ができ、見識を深めることができた。この頃、醸造家同士でイタリア・ワインの現状について憂い、そして将来について話し合った。彼らのような志を持った人たちに加え、ルイジ・ヴェロネッリ、マリオ・ソルダーティなどといったジャーナリスト達の活躍により、1970年代、イタリア・ワイン界がワインの「質」を考えるようになり、「ヴィニタリー」等のワイン見本市も開催されるようになり、イタリア・ワインにルネッサンス時代が到来。

1978年、フィオーレ氏は、個人としてイタリアで初めてとなる醸造コンサルタントとして独立。氏がトスカーナへ移住した時のこと。この当時のトスカーナの畑は、1,000年以上のブドウ栽培の歴史があるものの、ほとんど打ち捨てられた状態であり、今からは想像も出来ないほどワインの質はひどいものだった。

しかしフィオーレ氏をはじめとするワイン業界関係者の活躍により、今やトスカーナ州はイタリアを代表する銘醸ワインを数多く生み出す産地として注目されています。
イタリア・ワインの激動の流れ、またトスカーナ・ワインの変革時期。まさにこの変動期の中心にいたのがヴィットリオ・フィオーレ氏だった。

【経歴】
1941.05.14生まれ。オーストリアとの国境付近になる、アルト・アディジェのブレンネーロ(Brennero)で生まれる。父は税査察官で、ワインとは全く関係ない仕事をしており、また彼の生まれた周りにブドウ畑はなかった。むしろ、標高が高く、寒すぎ栽培できない場所だった。
そんな彼が、どのようにワインの世界に入ったのか?義務教育の後、「山奥より開けた場所に移りたかった。それに何か専門的な職を手にしたかった。」といい、今でも有名なサン・ミケーレ・アディジェ農業専門学校に入学、2年間ブドウ醸造、栽培学を修める。
その後ヴェネトのプロセッコメーカーにて、1961年まで修行を兼ね、従事。その後1972年までマルタ島(シチーリアの南)、ミラノ、後ピエモンテでもワイン醸造に携わる。その間、1964年にアドリアーナさんと結婚。1968年にはユーリ・フィオーレが誕生した。
その頃、1970年頃から自分自身のワイナリーを持ちたいと考え初めていた。一方で、イタリアワイン業界を背負う立場まで成長し、1972年に「イタリアワイン醸造技術協会理事」に任命され、1978年までこの要職につく。
この年の1978年、奥さんの持病などの理由により、暖かい所に住みたくなり、トスカーナへ移住する。この時から独立して、ワイン醸造コンサルタントを本格的に始める。友人がパンツァーノ・イン・キアンティでワイナリーを営んでおり、そこでエノロゴとして活動を開始し現在に至る。

【ヴィットリオ・フィオーレ氏のプロフィール】
1941年 : アルト・アディジェ ボルツァーノに生れる
1956~57年 : サンミケーレ・アディジェ農業専門学校へ
1956~61年 : ヴェネトのカンティーナで醸造を学ぶ
1962年 : マルタ島大規模ワイナリーに従事
1963~65年 : ミラノのワイナリーに従事
1966~71年 : ピエモンテのワイナリーに従事
1970~78年 : イタリア醸造技術協会勤務、理事として世界産地を廻る
1978年 : トスカーナに移住、醸造コンサルタントとして独立

【フィオーレ氏のキャリアは、大きく3つに分けることが出来る。】
①まずカンティーナにて内部の仕事に従事(1961年まで)・・・基本的なカンティーナの作業を学ぶ。
②後、約10年間イタリア各地でワイン醸造を担当・・・醸造の本質を学ぶ。
③1972~1978までワイン醸造技術協会理事としてフランス、スペインなど世界を回る。 ・・・世界的視野からワインを学ぶ。

故にワインに関して広い視野で造詣が深い。
彼自身も現在までをふり返ると、この3つの時期が、現在エノロゴとしてのベースになった重要な経験であったと語る。
現在までにワイン醸造コンサルタントしたワイナリー件数は50以上。
1990年代中頃:最高エノロゴ賞獲得

【今後の活動】
最大の夢であった「自分のワイナリーを持つこと」が実現した今は、このワインが代々続いていくよう尽力する。身近な予定としては、新しく醸造設備を拡充したい。生産量に対して現在の醸造所はあまりのも狭すぎ、それに作業効率が悪い為。

【ワイン醸造にあたり一番大事にしていること】
ワインは文化である。畑、ブドウ、ワイン、その消費者に対しても敬意を払い、目標に向かい取り組む事。

【あなたの考えるエノロゴ(醸造家)とは?】
ワイン文化の素晴らしさを伝播し推進する人。例えば、いくら素晴らしいポテトを作っても、美味しいポテトに他ならないが、ワインは、収穫したブドウから限られた時間の中で、変化、変身させる。そしてワインの中にメッセージを委ねる。それが、ひとつはテロワールであったりする。

【明日世界が終わりとしたら今夜どのワインを開けるか?】
やはりイル・カルボナイオーネを開けたい。これは私達フィオーレ家ファミリーそのものであるから。

イル・カルボナイオーネ 2017
Il Carbonaione Alta Valle della Greve 2017
チェリー、ブラックベリー系の香り、アーモンドや鉛筆のニュアンスを感じ味わいは長く広く口内に広がる。隙間ないタンニンが余韻となって続きます。早くから楽しめるヴィンテージです。

醗酵
ステンレス・タンク/主醗酵後、ステンレス・タンクとセメント・タンクにてマロ・ラクティック醗酵

熟成
オーク樽熟成 12カ月(70%が350L、30%が225L、新樽比率30% 一年使用樽70%)

年間生産量
27500本

栽培面積
15ha

土壌
砂質、砂岩質(砂岩が多く水はけが良い)、ガレストロ、泥質

原産地呼称
アルタ・ヴァッレ・デッラ・グレーヴェ I.G.T.

※《》内はインポーター資料より
https://mot-wine.mottox.co.jp/winery/publish/html/824.html
https://www.mottox.co.jp/search/detail.php?id=613009

生産者の情報
https://mot-wine.mottox.co.jp/winery/publish/html/824.html
http://www.poggioscalette.it

名称 イル・カルボナイオーネ ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ
英字表記
Il Carbonaione Alta Valle della Greve Podere Poggio Scalette
生産者 ポデーレ・ポッジョ・スカレッテ/Podere Poggio Scalette
国・産地
イタリア・トスカーナ
セパージュ【葡萄の品種】
サンジョベーゼ100%
ビンテージ【葡萄の収穫年】 2002
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】
STポイント※1 89
クラス※2 ハイクラス
抜栓 2020/01
※1
本サイト責任者による評価。身体意識のレベルを中心に、香り・味わい・ポテンシャル・コストなどから算出。最大100ポイント。
※2
価格帯により分類
レギュラークラス3000円未満
ハイクラス6000円未満
スペシャルクラス1万円未満
プレミアムクラス1万円以上
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