今回おすすめするワインはこちら。
「サン・ジュリアンの王」と呼ばれる「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」の造り手が手掛けるワイン。元々はラス・カーズのセカンド的な位置付けでしたが、2007年以降独立した別のワインとして造られています。
20年以上前から飲んでいる、個人的に想い入れのある1本で、初めて購入して飲んだ時のことを未だに覚えています。第一印象は、ストイックさと密度の高さ。それまで飲んでいた1000円台のワインとは全く異なるレベルで、衝撃的でした。当時の買値は3000円程度だったと思います。今の半値以下ですね。
カシスやブラックベリーなどの黒系果実の香り、カカオやココア、甘草、スパイスのニュアンス。味わいはしっかりとした果実感と滑らかで上品なタンニン。美しい酸があり、品格と切れ味をもたらしてくれます。余韻までその品格が続き、強さと複雑さ、優雅さが感じられる素晴らしいワインです。
難点があるとすると、ポテンシャルの高いビンテージにおいて、閉じて固いことがあること。と言っても、ボルドー屈指の開きにくいワインであるフラグシップのシャトー・レオヴィル・ラス・カーズのように、高岡師範以外に開かせることが出来ないようなものではなく、ある程度の気功能力があって正しい手順を踏めば美味しく飲むことが出来ます。
ラス・カーズが庶民には見向きもしない伯爵令嬢とすると、クロ・デュ・マルキは学校の美しく厳しいクラス委員長みたいなものでしょうか笑
どちらにしても身体意識で言えば中丹田が閉じている傾向があるため、そこへリバースを掛けていかに開かせるか、ということが大事になってきます。
ボルドーワインにはこういった傾向のワインが多い印象ですね。身体意識で言えば固いセンターと閉じた中丹田です。一方、イタリアやスペイン、カリフォルニアなどのワインは中丹田が強くリバースも発達しているのですが、センターが弱い傾向にあります。地域性と結びついており、面白いですよね。
さて、このクロ・デュ・マルキですが、特徴的な身体意識は、センター(細径軸・中径軸)、頭部に入ってくる天性のクオリティ、中丹田、リバース、下丹田、肩包面、心田・心田流など。
センターは美しく細径軸と中径軸が通っています。全体としての品格を感じさせます。
頭部には上丹田的な効果をもたらす天性のクオリティが入ってきており、味わいに知的さ、気品を生み出しています。造り手のワインを極めようとする探究心の表れでしょうか。
第3側軸辺りの位置に、天性のクオリティを持つモビリティが降りてきています。これは、テロワールの特徴であるサンジュリアン村ワイン特有の切れ味を創り出しています。
少し傾向は異なりますが、以前【総支配人 ワインバトル 第1回】の中でご紹介させて頂いた同じサンジュリアン村のワイン、「シャトー・グリュオ・ラローズ」にも切れ味を創り出す身体意識が感じられました。
中丹田は丁寧に開かせた甲斐があり、大きな三重構造をしています。とにかく健全な明るさを感じさせ、そこへリバースが入ってきています。このリバースは飲み手である我々の期待感が生み出したものです。このような中丹田、そしてリバースの形成をいかに促せるかどうかが、サーブする人の腕の見せ所でしょう。
この大きな中丹田の上には、天性のクオリティを持つ肩包面が形成されており、頭部への熱性の気の侵入を防いでいます。気品も感じさせる身体意識です。
心田は天性のクオリティを持ち、雄大さが目立ちます。そこへ天性のクオリティを持つ心田流がゆったりと入ってきており、味わいに優雅さを生み出しています。
下丹田はコンパクトながら、しっかりとしたストラクチャーがあります。敢えて宣伝目的のパーティーや派手なプロモーションを行わないことが伝わってくる身体意識です。
このように、身体意識から観ても、シャトーの持つ伝統と品格、造り手の確固たる信念が伝わってくる素晴らしいワインです。
同じ造り手のワインとしては、なんといっても「サン・ジュリアンの王」と呼ばれる
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ/Château Leoville Las Cases
がお勧めです。
完全に開き切った状態のラス・カーズを一度でよいので飲んでみたいですよね。
一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。
《Chateau Leoville Las Cases
シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ
『サン・ジュリアンの王』と呼ばれる、スーパーセカンドの代表格
サン・ジュリアンのトップの評価をうけるシャトー
1855年の格付け以来、継続してサン・ジュリアンの中でもトップの評価を受けるシャトー・レオヴィル・ラス・カーズ。もともとは、レオヴィル・ポワフェレ、レオヴィル・バルトンと共に、メドックでも最も大きなシャトーのひとつでしたが、フランス革命の後に分割され、レオヴィル・ラス・カーズは今のシャトーの土地を所有する事となりました。それ以降、19世紀後半からデュロン一族によってシャトーが守られています。
ちなみに、1855年時の格付け制定時にラス・カーズが与えられたのは2級。それでも名誉な格付けですが、シャトーとしては2級という格付けには納得していない、という事もあり、表ラベルにはあえて2級という記載はしていません。トップクオリティーへの気概を感じます。
オーナー、デュロン氏
2000年に亡くなった父、ミッシェル・デュロン氏の跡を引き継ぎ、現在のオーナーはジャン・ユベール・デュロン氏です(2017年3月時)。正直ネゴシアン達も対応が慎重になるような、威厳のあるオーナー。華やかなパーティーの場や、海外のプロモーションではあまりお見かけすることがありません。デュロン家は財力のある一族であり、2016年の長者番付では3億2000万ユーロの資産で217位にランク付けされています。
極みを目指して続けられる探求
デュロン家は他にも、シャトー・ポタンサック、シャトー・ネナンといった有名シャトーも所有していますが、信念として、一つ目にそれぞれのワインがそれぞれの土地のテロワールを表現している事が挙げられます。レオヴィル・ラス・カーズであれば、サン・ジュリアンのテロワールを表現した、骨格、調和、複雑味、熟成のポテンシャルを有しているスタイルである事が望ましいと考えられています。
二つ目の信念は、食事とともに飲用するのにふさわしいスタイルである事です。ワイン造りを行う上で、食事と合わせる際にキーとなる、酸味と熟成のバランスが取れたスタイルになるよう注意を払っています。加えて、ワインは熟成と共に良さを見せる様に、毎年の気候、自然環境等に合わせた常に上の極みを目指す探求に重きを置いています。
サン・ジュリアンの中でも最も北に位置し、すぐ隣はポイヤックのエリアである為、そのワインのスタイルはポイヤックのニュアンスを持つと言われたりします。『Clos(クロ)』 と呼ばれる小区画の畑の土壌は基本、粘土砂利質、砂利質を底土に持つ、第四期の砂利質ですが、ジロンド河によって複雑に形成された土壌。川が近い事により生みだされるマイクロクライメット(微小気候)は、ブドウの完熟を促進し、畑を霜害から守ります。肥沃過ぎない土地、程よい地下の水分量がある事で、どんなヴィンテージにおいてもカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランが素晴らしい成長を見せてくれます。
栽培されているのは、カベルネ・ソーヴィニヨン66%、メルロー24%、カベルネ・フラン9%、プティ・ヴェルドー1%で、平均収量は8,600 本/haです。
ラス・カーズのセカンドラベル、ル・プティ・リオン
1902年から造られている『クロ・デュ・マルキ』は、長らくセカンドワインとみなされてきましたが、レオヴィル・ラス・カーズの畑の西側にある別区画のブドウで造られているので「正式なセカンドワインでは無い、別のワインである」とシャトーが改めて発表しました。2015年ヴィンテージからその『クロ・デュ・マルキ』にはセカンドラベル、『La Petite Marquise Du CLOS du MARQUISE(ラ・プティット・マルキーズ)』が造られ始めました。クロ・デュ・マルキの区画の若木から採れたブドウが中心に使われています。
そして改めて、2007年からシャトー・レオヴィル・ラス・カーズの正式なセカンドワインとして、『ル・プティ・リオン』というワインが造られるようになりました。レオヴィル・ラス・カーズの区画でグラン・ヴァンのレベルに満たない若木から採れたブドウを中心に造られるワインです。
Clos du Marquis
クロ・デュ・マルキ
サン・ジュリアンの偉大なシャトー、レオヴィル・ラス・カーズが特定の区画から造るワイン。その果実味に富んだ豊かな味わいは多くのワインファンを魅了します。》
※《》内はインポーター資料より
https://mot-wine.mottox.co.jp/winery/publish/html/1686.html
https://www.mottox.co.jp/search/detail.php?f=search&t=por&id=646920&source=simple
生産者の情報
https://mot-wine.mottox.co.jp/winery/publish/html/1686.html
https://www.domaines-delon.com/en/accueil.html
名称 |
クロ・デュ・マルキ
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英字表記 |
Clos du Marquis(Chateau Leoville-Las-Cases)
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生産者 | シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ |
国・産地 | フランス・ボルドー・オーメドック・サンジュリアン |
セパージュ【葡萄の品種】 |
カベルネ・ソーヴィニヨン73%、メルロー18%、カベルネ・フラン9%
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ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 2013 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 |
赤
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STポイント※1 | 90 |
クラス※2 | スペシャルクラス |
抜栓 | 201910 |