今回は地球温暖化によるワイン造りへの影響について取り上げたいと思います。
例えばフランスの気温は、19世紀末と比べると平均1.1℃上がっており、南西部のボルドーを含むアキテーヌ地方では平均1.5℃上がっているそうです。世界中の専門家で構成する科学的な機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、このまま温暖化が進むと、2050年には世界的に気温が2~4℃上昇するそうです。
そうなってしまうと、栽培品種の改良、製法の工夫を行わない限り、現在のワインの味わいや身体意識をキープすることはかなり難しいでしょう。
2019年現在でも、世界各地で葡萄の収穫時期が早まっているという話をよく耳にします。
今までの葡萄品種が上手く育たなくなりつつある地域もあり、従来の土地と葡萄品種の組み合わせから期待される味わいとは変化してきています。気温が上がり過ぎると、糖度が高まり、酸味が減り、タンニンも減少してしまいます。身体意識的にも、センターや三丹田といった良いワインに必須の身体意識が形成されにくい状況になります。
暑い地域でも美味しいワインになるような葡萄を、品種改良で作る取り組みを始めるべき時期なのでしょう。本サイトでもその方向性を支持します。新品種の開発にはかなりの時間が必要なのですが、専門家の方々の取り組みに期待したいと思います。
もちろん温暖化には良い例もあります。日本を例にすると、北海道では温暖化がプラスに働き、ピノ・ノワールの栽培に適するようになってきているそうです。しかし、さらに長い年月で考えると上記と同じような問題が起きるため、品種の改良、開発は不可欠なものです。
ワインは同じ葡萄品種でも土地によって味わいは全く異なります。温暖化しても、この土地から生まれる味わいや身体意識を今まで以上に発揮できる葡萄品種改良を期待しています。
最後は、以前高岡師範とこの話で盛り上がった際に伺った話で締めたいと思います。
高岡英夫師範
「よいワインは飲むとセンターが通り、三丹田ができ、リバースが生まれ、周りの人と打ち解けながら盛り上がりつつもスッキリとしていて落ち着いている、でも上手く周りと盛り上がることができる、という良い循環に入ってくる。そのような身体意識を持つ葡萄を作ることがワイン造りや品種改良の目標。
そのようなワインは、過去に飲んだ中だとロマネ・コンティとペトリュス。そして、料理とのマリアージュという観点では、20年前リッツ・カールトン大阪でお好み焼きとあわせて飲んだ、ラミッションオーブリオンだね。」