ル・ドーム/Le Dome 〜おすすめワインリスト〜

ル ドーム 2012_1

今回おすすめするワインはこちら。

ボルドー・サンテミリオンで造られる希少性の高いガレージワイン。葡萄樹に4房しか残さない低収量で年間7000本程度しか造られません。1996年からリリースされています。

ボルドーにおいては新しい銘柄なのですが、価格の高騰が著しく、「パリで10万円出しても探せない」と言われた時期もありました。

新しい銘柄で話題性のあるワインにありがちな果実味重視のワインではなく、厳格なストラクチャ、節度と品格、高貴さ、クールな表情などと形容され、「真のサンテミリオン通のためのワイン」と呼ばれています。

カベルネフランという葡萄の持つ個性の影響もありますが、同じサンテミリオンでカベルネフランを50%程度使用しているプルミエ・グラン・クリュ・クラッセA「シャトー・シュヴァル・ブラン/Chateau Cheval Blanc」や、本サイトでもご紹介させて頂いたカリフォルニア・ナパ ヴァレーのカベルネフラン90%以上で造られる「ケンゾー エステイト アスカ【明日香】/asuka KENZO ESTATE」とはかなり異なる味わいです。

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アスカ【明日香】/asuka 〜おすすめワインリスト〜

元々カベルネフランはメルローのような分かりやすさやボリューム感を出しにくいのですが、その代わりに気品や品格、細い構造を生み出せるため、ボルドー、特にサンテミリオンではメルローを主体として少量ブレンドして使われることが多い品種です。

今回抜栓したル・ドーム2012はカベルネフラン80%、メルロー20%から造られており、そのまま飲むと、最小限の甘さ、高めの酸、タイトなミネラル感など、一般受けは全くしなそうな味わいです笑

過去にイギリス領であったボルドーは、その影響からか左岸右岸共に高貴な味わいのものが好まれてきましたが、近年メルロー主体の分かりやすく美味しいワインが増えてきた右岸でありつつもオーナーがイギリスの方であることがこのような味わいにさせているのでしょうか。カベルネ・ソーヴィニヨンが作り出す高貴さよりも、さらにストイックな高貴さを感じさせます。

元々味わいが難しいワインであることに加え、抜栓した当日は天候が不安定で雨も降っており、気圧の問題からもワインにとってかなり厳しい状況でした。しかし、飲まないという選択肢は無いため、色々工夫しましたが、ポテンシャルを完全には引き出しきれなかったのが悔やまれます。不定期連載の【総支配人 ワインバトル】に書けそうな内容でした笑

【総支配人 ワインバトル 第1回】

柔らかなヨード香、心地よい森の下草や腐葉土の香り。味わいはボリューム感よりも酸と落ち着きを感じさせます。品格があるのですが、ミネラルやタンニン由来の暗い渋みが目立ち、惜しい感じでした。しかし同時に高いポテンシャルも感じました。

少し残しておいて、翌日テイスティングした時には開いており、ストイックながらも程よく明るさが現れていました。タンニンもしなやかで好印象でした。

ル ドーム 2012_2
ル ドーム 2012_2

特徴的な身体意識は、センター(細径軸・中径軸・大径軸)、サイド・センター、側面、中丹田、中丹田に入ってくる面状の流れ、下丹田、肩包面、舟など。

3層構造のセンターは天性のクオリティを持ち、大径軸の上部はロート状に広がっています。

さらに下半身にはしっかりとしたクオリティの中径軸もあり、ストラクチャの強さを感じさせます。

サイド・センター(側軸)は、天性のクオリティを持つものが前後共に第2軸の位置に通り、そのすぐ外側に重なるようにして、重性のクオリティを持つしっかりとした側面(側軸が面状になったもの)が下から肩上まで形成されています。

これらの身体意識、特に下半身の中径軸と側面により、味わいに厳格な構造を感じさせています。

中丹田は二重構造であり、さらにその周りには眼の下の高さまで届く強い温球も形成されています。

二重構造の中丹田へ、斜め上から面状に入ってくる熱性の流れもあります。リバースよりも直線的な意識であり、何から由来するものなのか分からないのでもう少し調べてみる必要がありそうですが、造り手の身体意識を反映しているものと思われます。

黒色で表されるようなしっかりとした肩包面があり、そこへ上方から天性のクオリティが降り注いでいます。これらが熱性の気が上気するのを防いでいます。

下丹田も二重構造であり、小さな下丹田と、その周りに一回り大きな下丹田があります。

下丹田より高い位置、胃くらいの位置に左右に舟※と呼ばれる身体意識が形成されています。乗り型の舟で、前から見て2つあります。肩包面のように浮き身を生み出しており、味わいが重くなりすぎるのを防いでいます。この身体意識とセンターを中心とした天性の身体意識があることにより、厳格な構造を持たせつつも、味わいが重くなりすぎないようにしています。

※身体を重力から切り離して浮身(うきみ)の状態を作り出し、柔軟で多様性に富む自由な運動を可能にする。精神面でも自由自在な発想が生まれるようになる。

BA_ル ドーム
BA_ル ドーム

身体意識から観ても、かなりのポテンシャルを持つワインということが分かります。しかし、黒で表されるしっかりとした身体意識が多いことからも、まだまだ開ききっていないことが分かりますね。構造の厳格さに対して、熱性のクオリティの足りなさが目立ちます。全体の構造がしなやかになり、中丹田がさらに開いて明るく輝いてくると、全体としてバランスの取れた身体意識となり、味わいのバランスも素晴らしいものになると予想されます。

上記は抜栓当日の身体意識ですが、翌日は硬さが溶け出し、昨日と比較すると、飴色のような身体意識が増えていました。温性のクオリティがフワッと肩包面に上がってくる感じで心地よさと満足感が高まっていました。
最終的には90点以上の点数を付けても良いかと思いますが、今後の期待を込めて89点としています。

この造り手の他のワインでは、
メルロー主体の
シャトー テシエ/Chateau Teyssier
が分かりやすく美味しいのでおすすめです。緻密なクオリティを感じるワインです。

シャトー・テシエ2001
シャトー・テシエ2001

最後に抜栓当日のル・ドーム2012について、高岡師範のテイスティングコメントを掲載し、締めたいと思います。
「態度が細い感じがする。日本で作ったカベルネのような。造り手の気合は感じるのだが。これは開くまで待たないとな。

《30分経過》
お、少し開いてきた。

《45分経過》
さらに開いてきたな。明るくなってきた。
さっきは本当に狭暗かったからな笑」

一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。

シャトー・テシエはサンテミリオン グラン・クリュで最大の販売規模を持つ銘柄の一つ。最上級の単一畑のワインと同じ設備と方法を用いて、高スタンダードのものに仕上げる。

栽培
1994年以来購入し続けている、サンテミリオン南西部の多くの区画で栽培された葡萄を使用。ある特定の地域において、土壌/テロワールは主にcrasse de fer(鉄の堆積物)に砂礫が覆っているもので、アプローチしやすいワインを産出する。畑の多くはシャトー・モンブスケに近い。

醸造
ダブルグイヨーで栽培。第2の生長期で生えた枝は取り除き、グリーンハーヴェストを行い、低収量に抑える。葡萄は手摘みで収穫し、小さなトレイにいれ、ワイナリーへ運ぶ。シャトー・テシエはグリーンハーヴェストを行った樹の葡萄を手摘みで収穫し、それから凝縮したワインに仕上げる。葡萄は最初グループごとに選別し、葡萄一つ一つ除梗していく。葡萄を運ぶ時だけコンベヤーを使用する。低温マセラシオンを行った後、ステンレス・スティールタンクで発酵させ、3分の1がフレンチオーク樽の新樽で熟成させる。

ポイント
オーナーはシャトー・テシエに住んでおり、つまりシャトーは邸宅である。ワインメーカーが忙しそうにしているのと同じくらい活発に動く、犬や子どもたちに会うだろう。15,000本のシャトー・テシエを生産しており、適正な価格で販売されている。このため様々な場所でテシエワインを見かけることだろう。少し例を挙げると、飛行機のファーストクラスやビジネスクラス、ウィンブルドン、偉大なロックバンドのバックステージ、F1 などで提供されている。

ル・ドーム(2011)
ワイン・エンスージアスト-94ポイント!
パーカー-94-96ポイント!
インクのようなブルー/紫色。湿ったスティール、削った鉛筆の芯のようなミネラル感に、アジアンスパイス、春の花、ブルーベリー、ブラックラズベリーの含みが立ち上る。アロマは控えめな一方、風味は強烈な力強さとピュアなニュアンスを一貫して示す。2009や2010ヴィンテージの偉大な年に続いたことで幾分忘れられがちだが、このヴィンテージにおいて、驚くべき成功例である。5-6年セラーで寝かせると、より芳醇な複雑さを増すだろう。今後20年は熟成可能。(パーカーコメント引用)

ル・ドーム (2012)
ワイン・エンスージアスト-95ポイント!
パーカー-93ポイント!
樽テイスティング。チョコレート、コーヒーのアロマがたっぷりとする、上質な芳香が立ち上る。熟した果実、コクのあるタンニンがぎっしり詰まった風味は、豊かで美味な口当たりを示す。スパイシー、灌木のニュアンスのある、しなやかな味わい。(ワイン・エンスージアスト ロジャー・ヴォス氏コメント引用)

ル・ドーム (2013)
ワイン・エンスージアスト-94ポイント!
パーカー-91ポイント!
カベルネ・フラン80%、メルロー20%のこのキュヴェは、ボルドーのなかでカベルネ・フランが最も高い比率でブレンドされたワイン。2013ヴィンテージは、12.9%の見事な天然アルコール。凝縮したルビー/紫色を呈したサン=テミリオンワイン。グラスから林床、ブルーベリー、ラズベリーの甘い含みが立ち上る。ミディアムボディ、熟し、きれいに溶け込んだタンニンと、適度な酸味を示し、2013ヴィンテージの特徴である、魅力的で肉付きが良く、甘く、ジューシーな味わいが広がる。この美は、オーナーのジョナサン・マルテュス氏が一級品に仕上げたワイン。今後10-12年飲み頃。(パーカーコメント引用)

※《》内はインポーター資料より
https://www.pieroth.jp/producer/category-1681.html?sl=ja

https://www.pieroth.jp/2012-ja-7/

生産者の情報
https://www.pieroth.jp/producer/category-1681.html?sl=ja

名称
ル・ドーム
英字表記
Le Dome
生産者 シャトー・テシエ(ジョナサン・マルテュス)
国・産地 フランス・ボルドー・AOCサンテミリオン グラン クリュ
セパージュ【葡萄の品種】
カベルネフラン80%、メルロー20%
ビンテージ【葡萄の収穫年】 2012
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】
STポイント※1 89
クラス※2 プレミアムクラス
抜栓 201906
※1
本サイト責任者による評価。身体意識のレベルを中心に、香り・味わい・ポテンシャル・コストなどから算出。最大100ポイント。
※2
価格帯により分類
レギュラークラス3000円未満
ハイクラス6000円未満
スペシャルクラス1万円未満
プレミアムクラス1万円以上
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