今回おすすめするワインはこちら。
かつてドイツ最高の赤ワインを生み出していたラインガウ地方アススマンスハウゼンの名声を取り戻すのに相応しいポテンシャルを持つ一本。
個人的に、現在日本で流通しているドイツワインの中で本当に気にいるものは少ないのですが、このワインは間違いなく別格。
葡萄はシュペートブルグンダーを使用。シュペートブルグンダーとはピノ・ノワールのドイツでの名称であり、シュペートは「遅い」、ブルグンダーは「ブルゴーニュもの」の意味。
ただしブルゴーニュとはテロワール(土地・環境)が異なるため、味わいには共通する部分がありつつも、かなり異なります。
因みに、主に原産国以外の国や地域特有の葡萄品種の名称をシノニムと呼びます。
例えば、白葡萄では
シャルドネ → ムロン・ダルボワ(フランス)
シュナン・ブラン→スティーン(南アフリカ)
赤葡萄では、
カベルネ・フラン → ブルトン(フランス)
ネッビオーロ → スパンナ(イタリア・ピエモンテ北部) 、 キアヴェンナスカ(イタリア・ロンバルディア)
シラー → シラーズ(オーストラリア)
など、多数のシノニムがあります。
また、イタリアのサンジョヴェーゼとブルネッロのように、シノニムなのか別種なのか、という議論が行われている品種もあります。
近年のDNA解析で実は同じ品種であると分かった葡萄もあります。
地域によってはスタンダードな名称で呼ぶと気分を害される造り手もいるそうなので、それほど地域に根付いているということでしょう。名称の違いによる身体意識の違いを調べると面白そうですね。
さて、このアウグスト・ケスラーのワイン話に戻りますが、前述した通り高いポテンシャルを持ち、長期熟成も可能です。料理にも合わせやすく、ドイツワインらしく各種ソーセージやアイスバインとも良く合います。
ピノ・ノワールとしては比較的濃い色をしています。赤系果実の香り、柑橘系果実やスミレの香り、チョコやスパイスのニュアンス。味わいにもそれらのニュアンスがあり、開いてくると濃縮度のある果実味がより感じられます。全体として飲みごたえはありますが綺麗なバランスであり、タンニンからくる渋みも心地よくストラクチャもあり、それらが余韻へと続きます。
この地域のテロワールが持つ特徴を十分に表現しており、ブルゴーニュのピノ・ノワールとは異なる味わいを楽しめます。
味わいの自然な安定感から来る品質の高さも感じさせます。
特徴的な身体意識は、センター(細径軸、2軸の大径軸など)、中丹田、熱性流、ガイアのクオリティなど。
天性のクオリティを持つ細径軸は、腰の高さまで通っています。また、同じように天性のクオリティを持つ2軸が頭部にも入ってきています。
2軸に通る大径軸もあります。これはミネラル感によって作られるしっかりとしたストラクチャを持っています。
口くらいの位置から下に通っており、それより上は、下より弱い構造でロート状に開いてます。
中丹田は柔らかく大きなものと、強く小さなものの二重構造になっており、背中側の斜め上方から強い熱性の身体意識の流れ(熱性流)が小さな中丹田に入ってきています。
これはこのワインの特徴的な身体意識であり、急斜面をもつ丘陵という畑の立地やそこが熱を蓄える千枚岩の上に位置していることなどが影響しているのでしょう。
下丹田の位置には、左右からガイアのクオリティを持つ流れが入ってきています。これも畑の持つ特徴でしょうか。
脇に入ってくる天性のクオリティを持つ細い心田流もあります。これが、上述した中丹田や熱性流の間にスーッと入り込んでおり、心地よさを生み出しています。
このように、天性・熱性・剛性・ガイアといった四種のクオリティがバランスよく揃っており、それらが調和のとれた味わいを創り出しています。
厳格な規制を持つドイツワインの印象からすると意外なほど身体意識に適度な隙間があり、それが料理とのよいマリアージュを可能にしています。一流レストランにオンリストされる理由も分かりますね。素敵なワインです。
この造り手の
Assmannshauser Hollenberg Spatburgunder August Kesseler
もおススメです。素晴らしい完成度です。
余談ですが、この時のシェフの粋な計らいにより、同じ2002年ビンテージのブルゴーニュを飲み、比較することが出来ました。
Domaine Jean Chauvenet Nuits Saint Georges 1er Cru Aux Argillas
ドメーヌ・ジャン・ショーヴネ ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ オー・アルジラ
フランス・ブルゴーニュ・ニュイ・サン・ジョルジュ
ピノ・ノワール100%
このワインは、有機栽培で丁寧に作られており、収穫は全て手摘み。ニュイ・サン・ジョルジュのテロワールの特徴が凝縮されており、上品さと力強さを兼ね備えたワインでした。身体意識としては熟成によって形成されたと思われる細径軸が通り、それが上品さを生み出しています。
どちらにも味わいには濃縮感とバランスの良さがあるため、純粋にテロワールの対比を楽しめました。
このドメーヌ・ジャン・ショーヴネのワインもおすすめです。
一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。
《ヴァイングート・アウグスト・ケスラー
オーナー:アウグスト・ケスラー
ワインメーカー:Velten Tiemann
葡萄畑:16ヘクタール
年間生産量:90,000ボトル
トップサイト:アスマンハウザー・ヘレンベルク、リューデスハイマー・ベルク・シュロスベルク&ベルク・ローゼネック
土壌:千枚岩粘板岩と石英
葡萄品種:シュペートブルグンダー50%、リースリング各40%、シルヴァーナ10%
平均収量:赤ワイン1ヘクタールあたり35ヘクタリットル。白ワイン1ヘクタールあたり55ヘクタリットル。
ベストヴィンテージ:1990、1993、1996
メンバー:VDP、カルタ
アウグスト・ケスラーは、小樽を使用するアスマンハウゼンからの赤ワインの偉大なイメージを復興させる為に10年間活動し、見事に成功を収めた。ドイツではそのリストに彼のシュペートブルグンダーを載せていないレストランで素晴らしい店はまずない。彼の主な仕事はエアバッハのシュロス、Reinhaushausenのエステートを管理することであるが、ケスラーは現在最先端の手法から離れ、特定のワインには新樽を巧みに使用している。更に彼は、より魅惑的で甘いリースリングに彼のコミットメントを広げている。1996年のレンジは、これまでこのエステートが生み出した中で、そのスタイルにおいて最も素晴らしいワインを生み出した。更に特に素晴らしいのが、ホレンベルクからのロゼのベーレンアウスレーゼであった。収量は大変低いが、1995年から1996年まで赤ワインは大変素晴らしい品質であった。1997ヴィンテージは、春の霜が収穫の可能性を大幅に損なったが、全く変わらない出来であった。出来上がったワインが大変素晴らしいできであったことは、ほとんど奇跡である。
目標は存続する真の伝統と現代的なワイン生産を共有させる方法を見つけることである。
ラインガウ地方のアスマンハウゼンに位置するこのワインエステート、アウグスト・ケスラーは、(リースリングとシルヴァーナーワインの為の)Lorchにある葡萄畑から成り、この場所はリューデスハイム周辺の丘陵に位置し、”アスマンハウザー・ヘレンベルク”と呼ばれる地域にある。アウグスト・ケスラーは1977年に若くして彼の両親からこのエステートを受け継ぎ、葡萄畑を質的に最高の場所で18ヘクタールまで拡大した。マナーハウスとセラーは”アスマンハウザー・ヘレンベルク”の粘板岩の露出面に直接位置する。北米とフランスのワイン生産地で得た経験は、アウグスト・ケスラーに品質を特に重視することの価値を教えた。これは葡萄畑やセラーでの基準向上させることであり、かつて”アスマンハウザー・シュペートブルグンダー”を世界的に有名にした特徴的な風味を生み出している。更にリューデスハイマーベルク産のリースリングに、特有の酸味と自然の残糖間の良いバランスを与えている。
葡萄畑
ワインの品質は葡萄畑から生まれる。歴史的に、気候的に、また地理的に確立された葡萄畑の立地の評判に加え、このワイナリーの重要な要素は、厳しく管理され品質を重視した葡萄畑の運営である。
急斜面をもつ丘陵という立地が、西と南西に面したこれらの畑がユニークなワインを生み出すのに理想的な場所であることを示している。アスマンハウザー・ヘレンベルクは、熱を蓄える千枚岩の上に位置する。
その微気候と多孔性土壌は、この葡萄畑で長い歴史を享受するシュペートブルグンダーワインにとって理想的な立地である。ケスラーは、ヘレンベルク中心部の葡萄畑からクラッシクなシュペートブルグンダーワインの為の葡萄を得ており、これは高濃度のエキスと濃縮された果実のアロマを持つ。
リューデスハイムの丘陵の風化した粘板岩は、土壌の有孔性に加え極度に傾いた斜面という性質と、葡萄畑の畝間では温度が高いことにより、濃縮された果実味を持ちニュアンスに富むリースリングワインを生み出し、これは生き生きとしていると同時にしっかりとした酸味を持つ。
セラー
ケスラーワインの熟成行程は、1793年に”アスマンハウザー・ヘレンベルク”の粘板岩から切り出された二階建てのワインセラーで行われる。セラーの低い温度がリースリングワインの理想的な発酵を可能にし、これはステンレススティールタンクで還元的に行われる。シュペートブルグンダーワインはアロマラクティック発酵の後、225l入りオーク樽同様伝統的なオーク樽(容量600lと1200l)でも熟成と貯蔵がなされる。約14ヶ月後には個々の樽が各々のタイプのオーク樽のキャラクターを引き出す。
酒石の結晶はワインの品質に影響を与えないが、両者の間には興味深い相互関係がある。低温でのゆっくりとした発酵は、ワインの複雑なアロマを保持するのを助ける。更にこれはワインが桶の中に入っている時より後に、ボトル中で酒石ができるという結果を生む。それ故結晶は優れたワインメーカーとワインの品質の証とみなすことができる。
アウグスト・ケスラーキュヴェ・マックス
中位~濃いルビー色。最初は少々閉じているが、グラスの中に置いておくと開き、豊かで前面に出たベリー類のアロマを持ち、オレンジ、チョコレート、スパイス、ペッパーの含みが伴う。ミディアムボディで、エレガントでスパイシー、更にコーヒーとスミレの含みを持ち、これは余韻の長い後味で示される。きれいに造られており、調和のとれたワインで、しっかりとし融和した組成を持ち、若いうちに飲めるワインになっている。》
※《》内はインポーター資料より
https://www.pieroth.jp/producer/august-kesseler.html
https://www.pieroth.jp/2001-ja-4/
生産者の情報
https://www.pieroth.jp/producer/august-kesseler.html
名称 | アウグスト・ケスラー キュヴェ・マックス |
英字表記 | August Kesseler Cuvée Max Spätburgunder Trocken |
生産者 | ヴァイングート・アウグスト・ケスラー |
国・産地 | ドイツ・ラインガウ |
セパージュ【葡萄の品種】 | シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)100% |
ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 2002 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 | 赤 |
STポイント※1 | 86 |
クラス※2 | スペシャルクラス |
抜栓 | 201905 |