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熟成したサンテミリオンワインのお手本のような味わい。
サンテミリオン特別級(Saint Emilion Grand Cru Classe)の格付けを持つ「シャトー・マトラ/Chateau Matras」の上級スペシャルキュベです。
※シャトー・マトラは2011年に「シャトー・カノン/Chateau Canon」に買収され、その葡萄はシャトー・カノンのセカンドワイン「クロワ・カノン/Cloix Canon」へ使用されているそうです。
生産量の少ないガレージワインですが、安定感があり、葡萄の質の高さを感じさせます。
元々は「Chateau Matras」セカンドワインでしたが、1997年よりオーナーの意向でスペシャルキュベを作り、その名称に元のセカンドワインの名称を付けたという経緯があります。
スペシャルキュベと呼ぶだけのことはあり、このワインの造り方には相当な気合いが感じられます。
例えば、葡萄選別は房単位ではなく、粒単位で行います。機械ではなく手作業で一粒ずつ果粒を外し、それを選別していくという徹底した方法です。
その結果生まれたのがこのシャトー・レルミタージュであり、「Chateau Matras」と葡萄の選別方法が異なるだけで、これ程味わいが豊かになるのか、と葡萄選別の重要さを再認識させられます。
15年ほど前に同じ1998年のものを飲んだ時も素晴らしい味わいでしたが、20年の熟成を経て、さらに素晴らしい味わいになっています。
チェリーや黒系果実、甘草の香り、僅かに黒トリュフのニュアンスがあります。
味わいは優しいブラックベリーのような果実味がありますが、それが主張し過ぎずとても上品です。
そこへ膨よかな土、ふわっとした落ち葉を想わせるような温かい大地のニュアンスが漂い、それらが長く心地よい余韻へと続きます。熟成からくる染み渡るような旨味もあります。
静かな郊外の美しい自然を感じさせるワインです。
特徴的な身体意識は、細径軸・中径軸・大径軸、中丹田、下丹田、豊富なガイアのクオリティです。
三層構造のセンターの中でも特に大径軸が強く、ゆったりと堂々とした印象を生んでいます。
この大径軸にまとわりつくようにガイアのクオリティがあります。「ガイアトルネード」と呼ばれる身体意識で、このワインの膨よかさ、大地と繋がっているかのような温かさや豊かさを生み出しています。下方から懇々と湧き上がる豊かさです。全身がガイアのクオリティに包まれています。
中丹田、下丹田も形成されており、中丹田は二重構造をしています。はっきりとしたストラクチャを持っていますが、柔らかさもあります。
葡萄を粒ごとに選定するという、情熱と根気を必要とする作業が、このような身体意識を成立させたのでしょう。
ボルドーワインらしいしっかりとした存在感がありつつも、どこか懐かしくなるような心情、落ち着き、自然との繋がりを感じさせる身体意識を持つ素晴らしいワインです。
一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。
《執念を感じる手間と創意工夫で引き出すカベルネフランの魅力
教会を改造した醸造所で造られるふたつのワイン。グラン・クリユ・クラッセ格付けのマトラに対し、レルミタージユはただのグラン・クリユだが、オーナーのフランシス・ガブリオー氏にとってのポジショニングは逆だ。1981年から追っているレルミタージュは当初はマトラのセカンドワインとして考えていたのだが、97年からは逆にマトラの上級スペシャル・キュベとして造っているからだ。
サンテミリオンのプルミエ・グラン・クリュ・クラッセのシャトーたちを、讐えは古いがシネラマスクリーンのように周囲に見上げる、アンジエリュスとボーセジュールの斜面下に位置するふたつの畑。マトラが9haレルミタージュが3haである。特徴的なことは作付け面積比でメルロと同じ50%を占めるカベルネ・フラン。よく熟せばこれほど魅力的なものはないが、ちゃんと熟させるのが難しいブドウ。しかしこの畑は「オーゾンヌより収穫が2週間早い」と言うように、ミクロクリマ的には温暖なところがいい。
この2種類のワインを飲み比べると、確かにそっくりだ。造り方の違いは、レルミタージュが新樽100%、マトラが60%という他に、デステムを手で行なうか、機械によるか、という差だけ。とはいえ、言うのは簡単だが、手で一粒ずつ果粒を外していくなど、それこそ米をべストのものだけ一粒ずつ選んで炊飯する(「美味しんぼ」の海原雄山のやり方だ!)のと同じ、狂気の沙汰である。40人が不眠不休で3日間かかるというが、ブドウを傷つけず、ベストの粒のみを原料とすることができるという意味で、これに勝る方法はない、究極の技法である。
それゆえ、レルミタージュのほうが緻密で堅牢で、足並みが揃っている精度感がある。醸造データを見ても、レルミタージュのほうが酸、アルコールともに高く、キュベごとの偏差が少ない。やはり最高のブドウからのみ、最高のワインができるということだ。
美術出版社刊 ワイナート11号 最先端ボルドーより抜粋
Chateau L’Hermitage 1998
[AOC]サンテミリオン グランクリュ
[評 価]89+点 濃いルビー/紫で、ブラックベリー色をした、甘草、チェリー、そして 香ばしい新樽のアロマと風味がある、この深みのあるミディアムから フルボディのサン=テミリオンは、噛みごたえがあり、濃厚で、凝縮感 もあり、よい出来となっている。フィニッシュは純粋で、凝縮感があり、 ほどほどにタニックだ。予想される飲み頃:現在~2016年。 最終試飲年月:2002年3月
美術出版社 『BORDEAUX ボルドー 第4版』より抜粋》
※《》内はインポーター資料より
http://www.taruyasu.com/shopdetail/006012000001/
生産者の情報
http://www.taruyasu.com/shopdetail/006012000001/
名称 | シャトー レルミタージュ(GFAド・マトラ) |
英字表記 |
Chateau L’Hermitage(GFA de Matras)
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生産者 |
GFAド・マトラ(ヴェルテメール家)
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国・産地 |
フランス・サンテミリオン(AOC Saint Emilion Grand Cru)
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セパージュ【葡萄の品種】 |
メルロー70%、カベルネフラン30%
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ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 1998 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 | 赤 |
STポイント※1 | 92 |
クラス※2 | プレミアムクラス |
抜栓 | 201804 |