今回おすすめするワインはこちら。
スペインのガルナッチャならこういうワインを飲みたい、と素直に言える完成度の高い一本。
単調になりがちなガルナッチャ100%のワインですが、最高100年以上にもなる古樹を使用することや、個性豊かな醸造家チーム、鉄分を多く含む複雑な土壌、大陸性気候がもたらす昼夜や夏冬の温度差の影響を上手くまとめ上げることにより、分かりやすい果実の美味しさを持ちながらも、さまざまな複雑な要素を含むワインを造り上げています。
美しい黒系果実の香りや、質の良い珈琲豆を焙煎したかのような心地よい香ばしさがあります。ボリューム感のある果実味があり、重さよりも大きさや広がりを感じます。適度な甘みもあり、飲んでいて満足感があります。時間の経過とともに味わいを構成する各要素が明確に主張しつつ、柔らかくまとまってきます。余韻も長く上品です。
様々な要素を美しくまとめ上げており、造り手の能力の高さが明確に伝わってくるワインです。
特徴的な身体意識は、センターと中丹田、熱性流など。
センターは、第2軸にしっかりとした細径軸、第3軸にそれよりも弱い細径軸が通っています。どちらも天性のクオリティを持っています。
さらに、第3側軸くらいの幅(体幹部くらいの幅)に、熱性のクオリティを待つ大径軸が形成されています。
中丹田はコンパクトですが強力です。そこへ斜め前下方から熱性のクオリティを持つ流れが直接入ってきています。
両脇にはポールのような支えがあり、その外側に、肩甲骨から肩を後ろから前へ持ってくるようなモビリティがあります。この身体意識は、ワイン固有のものか注ぎ手の身体意識が反映されたものかの判断が難しいですが、脇に支えがあることは共通していそうです。
と、ここまで書いてふと気付いたのですが、今回の分析をする以前に飲んだこのワインの味わいや身体意識を思い出すと、基本的な味わいは変わりませんが、もう少し天性のクオリティを持つ身体意識が多かったような気がします。
今年、2018年の夏は記録的な酷暑であり、この時発注した様々なショップのワインは、多かれ少なかれ温度変化による影響を受けていました。
完全に熱劣化しているものもあれば、このモンカヨのヴェラトンのように味わいの変化はほとんど感じられないものもありましたが、このように身体意識を分析してその状態を改めて客観的に捉えると、熱劣化の可能性があると言えます。
熱劣化していると仮定して考えると、大径軸が熱性のクオリティになっているのは、熱による影響を大径軸がガードした結果と考えられます。
大径軸には周りからの攻撃から細径軸を守る働きがあります。
本来は天性のクオリティを待っていた大径軸が、外部からの熱による影響を受け、構造が破壊されるまではいかなくとも、そのクオリティが変容してしまった可能性があります。その余波により、第3軸を通る細径軸が弱くなり前方の第2軸へ押し出されてしまっているとすると、整合性があります。
熱劣化に対しては、味や構造の単純なワインの方が強く壊れにくい傾向があります。
それは機械に例えると分かりやすいと思います。構造が単純な機械の方が壊れにくいのです。
このヴェラトンの場合、味わいや身体意識は複雑ですが、単品種かつアルコール度数が15.5%と高いのが幸いしたのでしょう。
また、身体意識としては、体幹を包むようなしっかりとした大径軸があることが劣化を最小限に防ぐ要因となっていたと推測できます。
以上のことからも、かなりのポテンシャルを持つ完成度の高いワインと言えますので、ぜひ飲んで頂きたい一本です。
以下に熱劣化していない場合の身体意識図を予測してみました。
個人的にもまた飲み直して再分析したいと思います。
ここから先は余談ですが、今年の酷暑でも全くワインの劣化が見られないショップやレストランがありました。
その1つである20年以上の付き合いのあるワインショップでは、その当時から地下セラーを設置するなど、温度変化に対して徹底した対策を取ってきたそうです。
また、15年以上付き合いのあるイタリアンのシェフは、絶対に6月から9月まで外部からワインを入荷しないそうです。セラーから出して少しの間でも常温に置く、そこから配送して低温に冷やされ、中継地点の積み込みでまた常温へ戻り、積み込んでまた冷やしすぎる状態になる、といった具合に温度変化がありすぎるからだそうです。
このシェフはそれ以外にも、常に全てのワインの状態を話しかけるように定期的に確認し、飲み頃かどうかを判断しているそうです。「一本ずつワインを可愛がる」という表現をされていました。その効果か、どのワインも素晴らしい状態です。科学的にはその方法による効果を説明することは難しいですが、身体意識や気功の理論で考えると説明は容易であり、極めて効果的な方法と言えます。
もちろんこの背景には、シェフ考案の海外ワイナリーの地下水脈が通るワインカーブを参考にした水冷式のセラー室を設置するなど、設備的な工夫もされていることを付け加えておきます。
この辺りの話も、別の機会に掘り下げていきたいと思います。
<2019年10月10日追記>
昨年記事を公開した際に劣化していた可能性があったため、再分析してみました。
結論から言うと、昨年飲んだものは身体意識的には劣化したものでした。
よい状態のものはさらに素晴らしい身体意識です。
特徴的な身体意識は、センター(細径軸・中径軸・大径軸)、中丹田、リバース、肩包面熱性流など。
天性のクオリティを持つ細径軸は、劣化時とは異なり、第3軸を通っています。
大径軸も予想通り天性のクオリティであり、太さも劣化時よりも太いものが通っています。
劣化時にはなかった中径軸も天から胸の高さまで通っており、細径軸を守っています。
中丹田は巨大なものが三重構造で形成されており、劣化時よりも飲みごたえが感じられます。さらにその周りを取り囲むように大きな温球も形成されています。
この中丹田へ、胸側と背中側からリバースが入ってきています。
前下方から入ってくる熱性流は前回同様形成されており、リバースとあわせて中丹田へエネルギーを導入しています。赤粘土質の土壌からの影響でしょうか。
この巨大な中丹田から熱性のエネルギーが上気しないように、左右に分かれた肩包面も形成されています。
この天性のクオリティを持つ肩包面、そして3層構造のセンターにより、頭部が熱性のエネルギーの影響を受けないようになっています。
天性のクオリティと熱性のクオリティ。この2つの異なるクオリティが高いレベルでバランスを取っており、それが味わいにも影響を与えています。
たっぷりとした果実味とボディがありつつも飲み飽きさせない、素晴らしいワインでした。
これまでの分析からワインの劣化を考察すると、まず外的要因によって身体意識が劣化し、その後に味わいが劣化する、ということが分かりました。
多くのワインは、外的要因による身体意識の劣化と味わいの劣化がほぼ同時に起こります。
一方、身体意識の劣化から味わいの劣化までの時間差がある場合、大径軸を中心とした外部から細径軸を守る身体意識が発達しており、それが強力なほど長期間味わいの劣化に耐えられることも分かりました。
今回取り上げたワイン「ヴェラトン」は、身体意識の劣化から味わいの劣化までの時間差がある面白い事例です。
今後、大径軸の発達したワインについて、さらに同様の研究を進めてみたいと思います。
一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。
《ボデガス・アルト・モンカヨはダン・フィリップ、
ガルナッチャの古樹100%》
※《》内はインポーター資料より
http://www.millesimes.co.jp/
名称 | ボデガス アルト モンカヨ ヴェラトン |
英字表記 | Alto Moncayo Veraton Bodegas Alto Moncayo (Jorge Ordóñez Selections) |
生産者 | ボデガス・アルト・モンカヨ |
国・産地 | スペイン北部アラゴン (DOカンポ・デ・ボルハ) |
セパージュ【葡萄の品種】 | ガルナッチャ100% |
ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 2014 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 | 赤 |
STポイント※1 | 90 |
クラス※2 | ハイクラス |
抜栓 | 201808 |
【ワインの身体意識】-No.0010- ボデガス アルト モンカヨ ヴェラトン/Alto Moncayo Veraton Bodegas Alto Moncayo