身体意識は精神と身体のちょうど中間に存在し、心身未分の領域を形成しつつ、精神・身体双方と緊密かつ整合的に関係する意識の構造です。
ワインを飲んで感動している時には、一時的にそのワインの持つ身体意識が自分自身にも形成されているということです。そのワインが持っている感動構造、すなわち身体意識の構造を飲むことによって体験し、それが素晴らしいものであるほど感動も大きくなるのです。
身体意識は精神と身体の中間に存在するため、そのどちらへも影響を与えます。ワインを飲んでいる時には動き回ることはないので、どちらかと言えば精神への影響の方が感じられやすいですが、中には飲むと躍動感があり、思わず動き出したくなってしまうようなワインもありますよね。
【代表的な身体意識の要素】
各身体意識にはクオリティがあり、図では以下のように色分けしています。
黒→しっかりした構造が形成されていることや、重量感があることを示す。
青→冷涼鋭敏としてシャープなクォリティであることを示す。
赤→熱く、暖かなクオリティであることを示す。
緑→ガイア(生命体としての地球)がもたらすクオリティ。人を育てたり農作物を育てたりするのに必要なもの。温泉街はこのクオリティにあふれている。
センター(トップ・センター)
身体を天地方向に貫く最重要の身体意識。伝統的に軸、正中線、センターなどと呼ばれてきたものの統一的学術概念。脱力、最効率の体づかい、重心の感知と制御、メンタルコントロールなどに決定的な影響を及ぼす。
※その太さにより細径軸、中径軸、大径軸に分けられ、それぞれ特有の機能を有する。
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上丹田
聡明さ、優れた集中力、認識・思考・判断力、洞察力をもたらし、更には意志力、行動力の支えにもなる。中丹田、下丹田など他の丹田が適切に働くよう統括制御する司令塔。
中丹田
闘志、情熱、やる気、人を愛する気持ち、積極性、勇気、自負心などの源となる。人を熱くさせる魅力、指導力を生み出す。熱性のエネルギーを集める性質がある。
下丹田
古来「肚(ハラ)」と称され重要視されてきた。確固不抜の不動心、胆力、冷静沈着さをもたらし、安定しどっしりと重みのある姿勢と動作の源となる。
側軸(サイド・センター)
身体を正中面で半分に分割したとき左右それぞれの半身を通るセンター。身体の左右分立運用を可能にする。正中面に近い順に第一・第二・第三側軸がある。
地芯
地球の中心。より正確には、身体意識で捉えられた「地球の中心」のこと。地球の中心の位置に形成された身体意識のこと。色として表現すれば美しいシルバー。その6000㎞上空に我々は立っている。高度なセンターの形成に必須不可欠な身体意識である。また、地芯には地球が生まれて以来の重力場が集中的・積算的に働いており、何十億年もの歴史を重ねて地球の外側の宇宙空間の良質な天性の気を集めている。この集められた気を地芯天性の気と呼ぶ。
天芯
天の中心。より正確には、身体意識で捉えられた「天の中心」のこと。直線状の身体意識であるセンターの最高点のこと。高度なセンターの形成に必須不可欠な身体意識。
フリーフルクラム(フルクラムシフト)
人間の身体を拘束する固い身体意識の柱(スティフルクラム)が外れ、重力ベクトルと抗力ベクトルを身体意識化したものをそれぞれ重心線、支持線と呼ぶ。この重心線と支持線の絶妙な絡み合いが行われている状態の身体意識。センターと共に最重要の身体意識を構成する。このフリーフルクラムを構成する重心線と支持線との間のズレ(モーメント)を利用した高度な脱力系身体運動を行わせる支持線のモビリティを「フルクラムシフト」と呼ぶ。フルクラムは“支持線”、シフトは“移動する”という意味。
前後頭軸
上丹田の位置には第二軸が通っているが、さらに前後頭軸が通ることで、上丹田が洗練・強化される。
左右頭軸
前後頭軸と同様、上丹田の位置に左右頭軸が通ることでさらに上丹田が洗練・強化される。
ベスト
肩甲骨・鎖骨部内を中心とする、背・胸の流動的な運動を可能にする。形成されるとそのラインが大きな関節のように使え、上半身の運動性が飛躍的に高まる。
アーダー
肩甲部から腕にかけてを、重性のクオリティをもって一体化してコントロールできるようになる。肩腕を質量・重量体として、その物理量を高度に利用できるようになる。
肩包面
肩関節、肩甲骨、鎖骨および周囲の筋肉群(=肩包体)と、肋骨の間にできる面。形成されることで肋骨が解放されて上半身を円滑かつスピーディに運用できる。
心田・心田流
地下から温性・熱性のエネルギーを導入し、中丹田やパームに供給する。脇を深く大きく運用して、飛翔感のある動きを生み出す。精神的な懐の深さにも影響する。天性やガイアのクオリティを導入することもある。
パーム
熱性また温性のエネルギーが手掌を中心に集まってできる。人を励ましたり、奮い立たせることができる。また手の繊細かつ柔軟なコントロールを可能とする。
温球
温性のエネルギーが球状に集まり体幹部を包む。暖かい日の光によってフワフワになった羽毛布団を抱きかかえているかのような安心感やぬくもりを生む。
ガイア流
ガイア(生命体としての地球)からのエネルギーを身体の各部に導入する流線状の身体意識。ガイアのクオリティは地球という生命母体に育まれているような、やさしさ・やわらかさ・あたたかさ・安心感を生む。
ガイアパーム
ガイア(生命体としての地球)からエネルギーを手掌・前腕等に集める。地球とのつながり、人や農作物を育てる能力等に深く関係する。
地重根
地球の中心と深くつながり、下丹田の根底的な構造となっている。重性の身体意識の根本。性根が据わる、根気がある等の日本語の由来でもある。
ウォール
動的なウォールは全身を強力かつ円滑に導き動かす役割を持つ。また静的なウォールもあり、身体の過度な動きを抑制する働きをする。
ガイアトルネード
ガイアからのエネルギーを全身に導入するらせん状の身体意識。ガイア流の極めて特殊な形状と考えることもできる。
リバース
相手と自分の関係を強化する。通るラインは様々あり、中丹田に入ってくるもの、上丹田に入ってくるもの、背部をなぞるように通るもの(宮本武蔵型)などがある。
スライサー
身体を身体意識上で切断・分離する働きをする。切断面で滑動することで融通無碍の動きを作る。水平スライサー、クロススライサーなどの種類がある。精神・認識にもドラスティックに影響を及ぼし、困難を障害と感じさせない効果がある。創造性を支える重要な身体意識の装置の1つ。
転子
股関節の中心に形成され、下半身の運動性を飛躍的に高める。立つ、歩く、走る等のパフォーマンスを高度に遂行するのに必須。
裏転子
強力な前進運動や前方への圧力といった「前方力」を作り出す身体意識。裏転子が形成されると大腿二頭筋等の大腿裏筋群が活性化される。さらに強力な「前方力」を生み出す流舟という身体意識の形成を促進する。
ジンブレイド
下半身を脱力させ、相手に悟られない動き出しと滑らかで高速な移動を可能にする。高度な脱力と自由自在な心境を生み出す。インサイド、アウトサイド等の種類がある。フルクラムシフトの極めて合理性の高いパターンの一種。
舟
身体を重力から切り離して浮身(うきみ)の状態を作り出し、柔軟で多様性に富む自由な運動を可能にする。精神面でも自由自在な発想が生まれるようになる。
流舟
舟に前進力・前方力が加わったもの。上方、前方へあたかも飛翔するような強大な運動性をもたらす。身体を貫く位置や、入ってくる部位などは様々。
パラボラ
日常の身体運動や生活空間とは異なる、大距離空間の認知を司る。パラボラの大きさ・長さと、認知し得る空間のスケールは相関している。
バックセンター
心身を後から強力に支える役割を果たす。センターを助けるように働く。
レーザー
目標と自己を一直線に結びつける。行動に一貫性が生まれ、目標貫徹力をもたらす。軌道の安定した移動運動ができるようになる。応用型として様々な障害を避けるように進む曲線(型)レーザーも存在する。
ワインは様々な要因により、飲んだ時に受け取れる身体意識が変化しますが、少しだけ具体例を挙げてみます。それぞれの特徴的な身体意識です。
シャトー・ラフィット/Château Lafite Rothschild
センター(細径軸)、上丹田、中丹田、下丹田、肩包面
シャトー・ラトゥール/Château Latour
センター(細径軸・中径軸・大径軸)、裏転子、流舟、バックセンター
シャトー・ムートン・ロートシルト/Château Mouton Rothschild
側軸、中丹田、転子、心田流、パーム、流舟
強力な中丹田からくる明るさがある。熟成とともにセンター(細径軸)も形成される。
各ワインの身体意識はこちらから
身体意識(Body Awareness)とは