マリアージュと身体意識

料理やおつまみなど、食べ物とのマリアージュと身体意識はどのような関係があるのでしょうか。
味わいでは、似たような味わいで合わせたり、足りないところを補うように合わせたりしますが、身体意識でも同じことが言えます。

例えば、中丹田が強い料理に合わせつつ引き立てるために、それよりは弱めの中丹田を持つワインを合わせたり、中丹田は強いがセンターの足りない料理に、センター系の身体意識を持つワインを合わせたり、その逆もあり得ます。

具体的には、中丹田に中丹田を合わせるマリアージュのデザートと甘いワイン、中丹田系の料理にセンター系のワインを合わせるマリアージュの中華料理とニュージーランドのソーヴィニヨンブラン、センター系の料理に中丹田系のワインを合わせるマリアージュの寿司とイタリアトスカーナのサンジョベーゼなど、中には一般的に知られていない意外性のあるマリアージュもあります。

ただし、この身体意識の構造のマリアージュが合っていたとしても、必ずしも味わいのマリアージュが合わない場合もあるのが面白いです。この場合、身体意識で言えばクオリティやモビリティが合っていないことが原因の1つですが、単純に味わいだけ合っていないこともあります。

私が料理とのマリアージュで印象深かったのは、世界的に知られた日本のある白ワイン(シャルドネ)を牡蠣のバターソテーに合わせた時、それまで単体で飲んで美味しかったそのワインが、薄っぺらく感じられてしまいました。

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牡蠣も鮮度がよく大ぶりで、発酵バターを使ってシンプルにソテーしたものですが、料理単体でも素晴らしい美味しさで、そのポテンシャルに白ワインが追いついていないことが原因でした

ワインを選ぶ際、牡蠣のバターソテーなので、センターを補うようにスッキリとしたステンレスタンクの白ワインを合わせるか、樽の効いた白ワインでバターとマリアージュさせるか迷い、後者を選びました。ところがそうなってしまったので困っていると、同席されていた高岡師範から、これにしよう、とアドバイスを頂き、「ルイ・ラトゥール/Louis Latour」のコルトンシャルルマーニュ1994(2017年11月抜栓)を合わせることになりました。

ワインはベストな状態で、熟成感もあり単体でも素晴らしい美味しさでした。あまりに美味しいので、正直なところその瞬間は、こんなに美味しいワインは単体で飲んだ方が良いのではないか、と心の中で思いましたが、このワインに先程の牡蠣のバターソテーを合わせてみるとまさにマリアージュ、と表現するに相応しい合い方をしました。

牡蠣のバターソテーが持つ中丹田やガイアのクオリティを、センターや肩包面を中心としたさらに大きなストラクチャが優しく包み込んで見守るような印象を受ける、体験したことのないマリアージュでした。それまでの熟成したワインはマリアージュさせにくいという観念が払拭された瞬間でした。

本当にワインと料理のマリアージュは奥深いですね。

<2019年10月21日追記>
マリアージュに期待される効果として、
味わい的にも身体意識的にもまだ開いていないワインに対して、適切な料理を合わせることにより、全体としての味わい・身体意識のバランスを取る、ということもあります。

完全に開き切ったワインと出会えることは稀なことです。一般的には1000本に1本、能力の高いソムリエや販売店から提供された場合で10本に1本、といったところでしょうか。

もちろん、本サイト総支配人は開いていないワインと出会うと、極意注ぎを中心とした様々な方法を駆使してワインを開かせる努力をしますが、それでも完全に開かせることは難しいことです。そのワインのポテンシャルを超えてやり過ぎると味わいのピークを超えてしまう場合もあるので、極めて繊細な行為です。

そのため、ワインが完全に開き切っていない場合、料理と合わせることもとても重要な役割を果たします。

例えば、ミネラルが強く硬質なワイン、苦味のあるワインに対しては、それをほぐす効果のあるような温かい料理、旨味や甘味のある料理、もしくはその硬質さを生かせるような味わいの料理を合わせます。身体意識で言えば、そのようなワインは黒で表されるようなしっかりとしたクオリティを持っているため、それ以外のクオリティ、特に熱性・温性のクオリティを持つ料理と合わせることで美味しく感じられるようになります。

酸味が強く飲みづらいワインに対しては、酸味を和らげるようなクリーミーな料理、もしくはワインの酸味を感じにくくさせるために、ある程度酸味や塩味のある料理を合わせます。身体意識で言えば、強い酸味は荒いクオリティを持つ身体意識、例えばセンターや上丹田がそのようなクオリティを持ってしまう傾向があります。それを落ち着かせバランスを取るためには、中丹田、下丹田を中心とした熱性・重性の身体意識を持つ料理と合わせることが効果的です。

渋くて飲みづらいワインに対しては、トロリとした粘性のあるクリーミーな料理やオイリーな料理、もしくは辛味やスパイシーさ、癖のある味わいの料理を合わせます。身体意識で言えば、渋味で硬くなってしまいそうなクオリティをゆるめてくれる料理、飲みづらさを超えるような中丹田のパワーを持つ料理、癖のあるモビリティを持つ料理などを合わせます。

上記はほんの一例で例外もありますが、足りないところを補い合うのもマリアージュ(結婚)の1つの在り方ですね。

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