今回おすすめするワインはこちら。
ピュリニー・モンラッシェのあるべき姿を示す一本。
美しい酸、落ち着いて静寂感のあるミネラル感、そしてピュアな果実味など、ピュリニー・モンラッシェらしさを備えています。
このワインの葡萄畑には樹齢90年近い古樹が含まれており、そのポテンシャルを生かすため、ビオディナミと呼ばれる自然農法や大きめな古樽の使用、低い発酵温度など、さまざまな工夫をしています。
桃などの黄色系果実の香り、ほのかな蜜のようなニュアンス。味わいはピュアな果実味がありつつ、それを綺麗な酸が絶妙にまとめています。この時飲んだものがマグナムサイズでゆっくりと熟成しているせいか、まだミネラル感に弾力はあったものの飲み辛さは感じさせません。他のピュリニー・モンラッシェ村のワインに時折見られるような、引き締まった固さはなく、とても自然な味わいです。
この味わいの自然さが、料理への合わせやすさとなっています。
時間の経過とともに透明なミネラル感、シャサーニュ・モンラッシェ村のワインのような柔らかさと温かさが生まれ、熟成したムルソーのような優雅なニュアンスもあり、熟成後が楽しみなワインです。
特徴的な身体意識は、センター(細径軸・大径軸)、中丹田、胸上部のガイアのクオリティ、温性のクオリティを持つ柱です。
ピュリニー・モンラッシェ全般にみられる身体意識の特徴として、細径軸と何らかの水平系身体意識の抑えのあることが分かってきたのですが、このレ・ピュセルもその傾向に当てはまっています。
ブルゴーニュでモンラッシェと呼び名が付くワインが造られるピュリニー・モンラッシェ村とシャサーニュ・モンラッシェ村には5つのグランクリュ (特級畑)があり、シュバリエ・モンラッシェとビアンヴニュ・バタール・モンラッシェはピュリニー・モンラッシェ村に、クリオ・バタール・モンラッシェはシャサーニュ・モンラッシェ村に、モンラッシェとバタール・モンラッシェは2つの村をまたぐようにあるのですが、このワインの葡萄を作っているレ・ピュセルという1級畑はバタール・モンラッシェとビアンヴニュ・バタール・モンラッシェに隣接しており、上記のグラン・クリュに匹敵する評価を受けています。もちろん、それぞれの畑で共通している身体意識と、異なる身体意識の特徴があります。
レ・ピュセルは、標高もバタール・モンラッシェとほぼ同じで、小石が多く水はけのよいの土地です。土壌と身体意識、そこから生まれるワインの特徴についてもいずれ発表していきたいと思います。
このフィリップ・シャヴィのレ・ピュセルにはセンター、中でも細径軸と大径軸が通っています。飲むと感じられる美しい酸は、細径軸によって酸がダレずにまとめられることと、大径軸によって大きく柔らかくまとめられていることが二重に働き、生まれていると考えられます。
細径軸だけでまとめようとすると、まとまり方が強くなり過ぎてしまい、酸味がキツく感じられてしまいます。一方、大径軸だけでまとめようとすると、柔らかさはありますが、どうしてもピュリニー・モンラッシェらしい細くスーと通る気品ある酸が生まれません。
この二重構造のセンターの働きが、早飲みでも美味しく長期熟成しても美味しい、というこのワインの特徴を創り出しています。
中丹田も二重構造をしています。コンパクトな中丹田を包むように、上部に広がる形状の中丹田が形成されています。他のピュリニー・モンラッシェはコンパクトな中丹田のものが多く、このような大きな中丹田はあまり見られない構造ですが、バタール・モンラッシェにはこのような傾向を持つワインもあるので、バタール・モンラッシェと隣接している影響、もしくは造り手の特徴なのかもしれません。ムルソーの造り手でもある事も影響していそうです。
それと関係がありそうですが、大径軸より外側に温性のクオリティを持つ柱のような身体意識があります。大径軸の外側かつ温かく柔らかいクオリティなので、飲んだ時の味わいの豊かさ、香りや余韻にも影響を与えていそうです。
このワインは桃のような香りだとよく言われているので、桃の身体意識を調べてみると共通性があるのかもしれませんね。重構造の中丹田は桃にもありそうです。
中丹田の上部には波状のガイアのクオリティがあります。ビオディナミと呼ばれる自然農法が生み出したものでしょう。前述したピュリニー・モンラッシェ全般にみられる身体意識の特徴である、水平系身体意識の抑えですが、このようにガイアのクオリティである例は稀です。ふんわりと生命力に溢れる抑え方です。
その他の造り手の例では、天性もしくは剛性の肩包面、スライサーなどがありますが、この造り手はスパーと抑え過ぎないところが特徴です。
天性のクオリティでピター、スパーと抑えると貴族的で高い品格を感じさせる印象になりますが、自然さとの両立は難しくなってしまいます。この造り手はセンターで気品を生み、ガイアのクオリティかつ波状の身体意識で中丹田からの熱性の気を柔らかく抑えるという、その構造とバランスも素晴らしいと思います。
長期熟成後の身体意識がどうなるのか楽しみなワインです。
この造り手のスタンダードワインである
ブルゴーニュ・ブラン/Bourgogne Blanc
また、
ムルソーの4つの畑で育つシャルドネをブレンドさせた
ムルソー/Meursault
もおすすめです。
一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。
《◾️ミネラル感ときれいな酸 ピュリニー・モンラッシェを代表する造り手
ピュリニー・モンラッシェ村にあるシャヴィの名を持つ3 つのドメーヌは、いずれも腕利きぞろいだ。フィリップ・シャヴィの当主フィリップは、アランとジャン・ルイのいとこに当たる。
父アルベールはバルクワインで有名ネゴシアンに売却していたが、1990年に引き継いだフィリップが、自家元詰めに移行した。
ビオディナミに転換し、2000年代に入ってからの品質向上は目覚ましい。
新樽比率を減らし、350リットルの容量が大きめのカスクや、500リットル、600リットルのデミ・ミュイも導入している。 酸化を避け、フレッシュ感を重視しているからだ。
樽の製造業者はフランソワ・フレール、タランソー、セガン・モローなどを混ぜ、風味の多様性を引き出している。純粋な果実味、ピュリニー・モンラッシェの特色であるミネラル感ときれいな酸を表現している。
空気圧式の圧搾機によって得たきれいな果汁を、デブル バージュ(静置)によって澄んだ状態にし、最初はステンレ スタンクで発酵。数日後に樽に移す。
発酵温度は18度とほかの生産者より低く、フレッシュな果実と澄んだアロマを引き出す。バトナージュは控えめで、無理に厚みを作りださず、 ワイン自体の個性を尊重している。
ピュリニー・モンラッシェのプルミエ・クリュは、レ・フォラティエールとレ・ピュセルがそれぞれ、1950年代、1920年代の古木を含む秀逸な区画。
ヴィラージュでは、ビアンヴニュ・ バタール・モンラッシェのすぐ下のリュ・ルソーが通の狙うワインで、サン・トーバンやブルゴーニュ・ブランの品質もおしなべて高い。
シャヴィのワインは若くから楽しめるが、美しく熟成する力もある。ピュリニー・モンラッシェのあるべき姿を示している。アメリカ、イギリス市場での人気が高く、 フランス国内では、ミシュランの2つ星、3つ星レストランのワインリストに欠かせない存在となっている。》
※《》内はインポーター資料より
http://www.millesimes.co.jp/wineinfo2/producerlist.php?producern=29&country=フランス
生産者の情報
http://www.millesimes.co.jp/download/wine_list/1701_millesimes_wine.pdf
名称 | フィリップ・シャヴィ ピュリニー・モンラッシェ プルミエ・クリュ レ・ピュセル |
英字表記 | Philippe Chavy Puligny Montrachet 1er Cru Les Pucelles |
生産者 | ドメーヌ・フィリップ・シャヴィ |
国・産地 | フランス・ブルゴーニュ・コート・ド・ボーヌ |
セパージュ【葡萄の品種】 | シャルドネ100% |
ビンテージ【葡萄の収穫年】 | 2015 |
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】 | 白 |
STポイント※1 | 87 |
クラス※2 | プレミアムクラス |
抜栓 | 201901 |