サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン/Savennieres Clos de la Coulee de Serant (Nicolas Joly) 〜おすすめワインリスト〜

サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001

今回おすすめするワインはこちら。

世界最高峰のシュナン・ブランの造り手「ニコラ・ジョリー/Nicolas Joly」が手掛けるフラグシップワイン。フランス5大白ワインのひとつと言われています。

ニコラ・ジョリーの詳細については、以前ご紹介させていただいた「サヴニエール レ ヴュー クロ/Savennieres Les Vieux Clos」の記事をご覧ください。今回はいよいよクーレ・ド・セランをテイスティングし、掲載することにしました。

サヴニエール レ ヴュー クロ/Savennieres Les Vieux Clos(Nicolas Joly) 〜おすすめワインリスト〜

クーレ・ド・セランは、「CARRUADES DE LAFITE/カリュアド・ド・ラフィット」や「ドメーヌ・フーリエ ジュヴレ・シャンベルタン V.V/Domaine Fourrier Gevrey Chambertin Vieille Vigne
クロ・デュ・マルキ/Clos du Marquis」「ベルターニ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ/ Amarone della Valpolicella Classico Bertani」などと並び、私が本格的にワインへ傾倒するきっかけとなった思い入れのある一本です。

サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_5
サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_5
サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_3
サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_3

1990年代後半に、初めてクーレ・ド・セランを味わった時の衝撃は未だに覚えています。「白ワインでここまでパワーとポテンシャルが感じられるワインが存在するのか」というのが当時の素直な感想でした。7年程度寝たものでしたが、まだまだ氷の刃を重ねたような鋭さがあり、底知れぬポテンシャルが感じられました。その後、定期的に飲み続けてきましたが、2002年辺りから鋭さがなくなり、若くても柔らかく美味しく飲めるスタイルへと変化したのを覚えています。造り方の変化によるものなのか、葡萄の樹齢に伴う変化なのか、その理由は分かりませんが、味わいの変化した前後のビンテージで、今後の熟成によりどのような味わいの変化をしていくのか、気になるところです。

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そのこともあり、今回は味わいが変化する直前の2001年を選んでみました。今後この前後のビンテージを味わう機会があれば、比較するのも面白いと思っています。

サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_1
サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_1
サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_2
サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_2

落ち着いた柑橘系果実の香り、柔らかなハーブとスパイス、品のよいバターを使用した洋菓子、ハチミツ、僅かに煙や火打石のニュアンス。味わいは、20年近くの熟成を経て美しい複雑さがありますが、明るさとフレッシュさも感じられます。熟したリンゴやナッツ類の風味をフワッと纏いながら、素晴らしい熟成したクーレ・ド・セランでしか味わえない旨味を伴う余韻へと続いていきます。若い頃は強靭なミネラル感と酸で骨格を形成していましたが、ここまでの時間がワインの味わいを激変させています。抜栓後数日置くと、さらに素晴らしい状態へ変化していきます。必ず一度は飲むべき素晴らしいワインです。

サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_6
≪抜栓初日≫サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_6
サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_7
《抜栓3日目》サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_7

特徴的な身体意識は、センター(細径軸・中径軸・大径軸)、サイド・センター(第2側軸・第3側軸)、中丹田、下丹田、肩包面、心田・心田流、転子、ガイアのクオリティなど。

このクーレ・ド・セランの最大の特徴は、揺らぎのある細径軸です。センターといえば、軸というくらいなので真っ直ぐに通っているものが殆どなのですが、ごく稀に理想的な熟成を経たハイレベルなワインには、このようなセンターが形成されています。クーレ・ド・セランの場合、天性のクオリティを持つセンターは、細径軸だけではなく、中径軸(天から胸の高さまで)、大径軸、大径軸よりもさらに太い大径軸が2本通っています。これだけ観ても、圧倒的な完成度と存在感が感じられる身体意識です。

サイド・センターも天性のクオリティを持ち、中腹部から転子を通り脚まで通っている第2側軸、頭の少し上の高さから脚の途中まで通っている第3側軸が形成されています。味わいから考えると、若い頃に感じられた氷の刃のような強いミネラル感の名残でしょうか。

口や喉の高さのところに、肩包面のような形状の身体意識が形成されています。天性のクオリティと熱性のクオリティが重なるようにあり、クーレ・ド・セランでしか味わえない旨味を生み出しています。

質の高い天性のクオリティを持つ肩包面が形成されており、水平方向へのゆったりとした落ち着きと森羅万象とのつながりを創り出しています。

中丹田は三重構造のものが形成されており、周囲はガイアのクオリティに包まれています。造り手のワイン造りに対する並々ならぬ意志を感じさせます。

下丹田は二重構造になっており、柔らかく程よい落ち着きを味わいへ与えています。

ガイアのクオリティを持つ心田・心田流が両脇に形成されています。柔らかさと生命感を感じさせる優しい身体意識です。

股から脚方向にかけてガイアのクオリティがあります。大地と繋がりながら、ゆったりとした柔らかい揺らぎを持つ身体意識が形成されています。

体幹部の両脇には、天性のクオリティの上部へ向かうモビリティを持つ身体意識が形成されています。これは「サヴニエール レ ヴュー クロ/Savennieres Les Vieux Clos」にも観られた身体意識であり、テロワールが反映されたものだと考えられます。

BA_サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン
BA_サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン

このように身体意識で観ると、ビオディナミ農法の教祖と呼ばれるニコラ・ジョリーの目指しているワインというものが本質的に伝わってきます。「美味しいワインである前に、その土地固有の繊細さを表現した本物のワインでなくてはならない」「化学的なものを使いバランスを崩してしまった自然のバランスを取り戻し、その場所で育った植物や動物の力を借りさらにバランスを高めてあげる」という彼の哲学がよく反映されたワインと言えます。味わいには細かい氷の刃が僅かに残りつつも、柔らかく、まだまだ熟成できるポテンシャルを感じさせる素晴らしいワインです。

このクーレ・ド・セランは、高岡師範に対して初めて本格的にワインをセレクトさせていただいた際に、選んだワインの1本でした。白2本、赤2本のセレクトでしたが、その中でもクーレ・ド・セランは最高の評価をいただきました。その会については、いずれワインバトルなどで取り上げたいと思います。

サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_4
サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン_2001_4

一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。

ドメーヌの歴史
クレドセランはシトー派修道僧により12世紀に植えられた由緒ある畑で、以来800年以上もの間ブドウ栽培が行われています。1962年からジョリー家が所有し、1976年に現当主であるニコラジョリー氏が運営に参加。ジョリー氏は「美味しいワインである前に、その土地固有の繊細さを表現した本物のわいんでなくてはならない」と、1980年から部分的にビオディナミを導入し、1984年からすべての畑でビオディナミを行っています。

2001年、ジョリー氏はビオディナミの団体「Return to Terroir」を創立、12カ国、約150生産者がこの団体に所属しています。また、彼はこの団体を通し、世界中で講演し、原点へ回帰を提唱しています。

栽培
クレドセラン、クロドラベルジュリ、ヴュークロに畑を所有。1984年からすべての畑でビオディナミが行われています。ドメーヌでは牛や羊などを飼い、イラクサを始め多くのハーブを育てています。ハーブなどからビオディナミに必要なプレパラシオン(調合剤)を造り、家畜たちが畑の草を食べ、馬で耕作するなど、自然と動物と共にブドウ栽培を行っています。

ニコラジョリー氏がビオディナミを説明した著書『Le Vin,La Vigne et La Biodynamie』の日本語版をこちらでお読み頂けます。

https://www.fwines.co.jp/producingarea/pdf/biodynamie.pdf

醸造
自然酵母にて発酵、発酵時の温度はコントロールしません。また、デブルバージュ、コラージュは行わず、主に古樽で数ヶ月間熟成後、瓶詰め前にフィルター処理を極軽く行います。

Clos de la Coulee de Serrant
【クロドラクレドセラン】
AOC : サヴニエールクレドセラン
品種: シュナンブラン

面積は7ha、この造り手が単独所有する畑です。南向きの急斜面で、平均樹齢は40年以上、一番古い樹で80年になります。馬を使うかもしくは人の手によって耕しています。

凝縮感があり、酸味のバランスが良く、ハチミツやアプリコット、火打石などの風味が感じられます。但し、ニコラジョリー氏は自然のままを表現することを心がけているため、ヴィンテージにより個性が異なります。また、ヴィンテージによってボトリティスを含むものと、含まないものがございます。

Savennieres Les Vieux Clos
【サヴニエールレヴュークロ】
AOC : サヴニエール
品種: シュナンブラン

クレドセランに比べ、やや傾斜が緩やかな東向きの区画で表土が深い区画で、平均樹齢は約20年。クレドセランよりも早くから楽しむことができ、エレガントな酸が心地よく、アーモンドやナッツ、フレッシュフルーツなどのニュアンスがあります。こちらもクレドセラン同様、ヴィンテージ毎の個性が表現されています。

*いずれのワインもよりおいしく味わって頂くために、飲む前に数回でデキャンティングして頂くか、24時間前に抜栓して頂くことをお勧めします。適温は14~15℃。栓を抜いた後3~4日すると、より一層開いて味わいが増していきます。

♦ Column
当主のニコラジョリーはとにかくパワフルで好奇心が旺盛な人だ。取材やセミナーは時間内で収まることが少ない。彼の好奇心がドンドン膨らみ、相手に伝えたいことが次々と湧き出て、話題があちらこちらへ飛んでいく。

彼のビオディナミのセミナーは一見難しく思える。現代に生きる私たちにとって、自然の法則を身体で実感する機会が減ってしまったことと、彼が少しでもビオディナミを知って欲しいと、幅広い多くの情報を伝えようとするからだろう。しかし1対1で話を聞くと、実はシンプルだ。化学的なものを使いバランスを崩してしまった自然のバランスを取り戻すこと。そしてその場所で育った植物や動物の力を借りて、バランスを高めてあげること。

決して現実離れした話ではなく、非常に論理的だ。前職は金融マン。様々なファクターを収集、分析し、実行していく。ワイン造りでもそれは行われている。そして、そこに自然への愛情がプラスされているのだ。

彼のワインもまた、「難解ワイン」と言われることがある。私も最初はそう思っていた。しかし、難しいという周囲の評価やワインとはこういうものという定義に縛られていただけだった。確かに、早めに抜栓したり、デキャンタしたりしないと開いてくれない。でも一度姿を見せてくれると、パワフルだと思っていたワインが様々な料理と優しくマリアージュしてくれる。なんと包容力と穏やかさを持つワインなのか!

彼と会う時、彼のワインを飲む時は、あせってはいけない。じっくりと向かい合うため、長い時間を用意しておこう。きっと心を開いてすべてを見せてくれるはずだ。そして、その包容力に、いつの間にか心地よい気分にさせてもらっているだろう。

来日すると人気が高いため過密スケジュールとなるが、それでも移動や休憩の間も話し続け、「これで60代後半とは」と圧倒されてしまう。

※《》内はインポーター資料より
https://www.fwines.co.jp/lineup/winery/fr_loire01/

生産者の情報
https://coulee-de-serrant.com/

https://www.fwines.co.jp/lineup/winery/fr_loire01/

名称 サヴニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン
英字表記 Savennieres Clos de la Coulee de Serant(Nicolas Joly)
生産者 ニコラ・ジョリー/Nicolas Joly
国・産地 フランス・ロワール・サヴニエール
セパージュ【葡萄の品種】 シュナンブラン100%
ビンテージ【葡萄の収穫年】 2001
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】
STポイント※1 97
クラス※2 プレミアムクラス
抜栓 202008
※1
本サイト責任者による評価。身体意識のレベルを中心に、香り・味わい・ポテンシャル・コストなどから算出。最大100ポイント。
※2
価格帯により分類
レギュラークラス3000円未満
ハイクラス6000円未満
スペシャルクラス1万円未満
プレミアムクラス1万円以上
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