ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン/Bourgogne Hautes-Cotes de Nuits Rouge Bec a Vent(Jacques Cacheux) 〜おすすめワインリスト〜

ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン2005

今回おすすめするワインはこちら。

ヴォーヌ・ロマネに本拠地を置き『ヴォーヌ・ロマネの職人』と評される実力派「ドメーヌ・ジャック・カシュー・エ・フィス/Domaine J.Cacheux et Fils」が造る一本。

近年、価格が高騰するブルゴーニュワインの中で、高品質と適正価格を両立する数少ない生産者です。

リュット・レゾネ(減農薬栽培)で造られていますが、最近増えているナチュラルワインにありがちな不快な還元臭や薄さはなく、満足感の高い果実味とモダンな美しさを持っています。

所有するヴォーヌ・ロマネでは、五つの区画名付きの村名格畑をクリマ(区画畑)ごとに醸造し、5つの銘柄に分けてリリースしています。通常であれば、それらも含め村名ヴォーヌ・ロマネとしてまとめてリリースされるのですが、ジャック・カシューはこのクリマごとの僅かな気候や土壌の違いといったテロワール(土地やそれを含む環境が与える要素)の個性を表現するため、このようにクリマ別の醸造・リリースをしているのでしょう。まさに職人ですね。

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テロワールと身体意識

ちなみに、ブルゴーニュでいう「クリマ/Climat」とは区画畑のことで、区画として明確に限定された畑を意味します。他の地域とは異なり、ブルゴーニュではモザイクのようにクリマによって葡萄畑が分けられており、ブルゴーニュの2000年の歴史の中で育まれてきたテロワールへの敬意を感じさせます。隣接する畑でも、全く異なるテロワールであることもあり、そこがブルゴーニュ最大の特徴でもあります。

ボルドーの畑は、「シャトー・ラフィット・ロートシルト/Château Lafite Rothschild」で約100ha、かなり小さいと言われる「シャトー・ペトリュス/Chateau Petrus」でも11.4haありますが、ブルゴーニュのクリマは
「ロマネコンティ/Romanée-Conti」で1.8ha、フランスで最も小さな特級畑である「ラ・ロマネ/La Romanée」では0.85haしかありせん。1haは100m × 100mですので、ブルゴーニュの方がその規模が想像しやすいでしょうか。

さて、このドメーヌ・ジャック・カシュー・エ・フィスですが、1994年に前当主ジャックが引退し、現在は息子のパトリスが当主を務め、2012年からはパトリスの息子であるシャルルも参画しています。

ワインラベルには、ヴォーヌ・ロマネにある5つの十字架の中で最も古いと言われる、所有する一級畑ラ・クロワ・ラモーの石垣上に立つ十字架(クロワ)が描かれています。

ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン2005_1
ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン2005_1

凛とした気品のある赤い薔薇、赤系果実の香り。味わいは、フレッシュで充実感のある果実味、ストラクチャのあるミネラル感、きめ細やかでしなやかなタンニンが感じられるます。素直に美味しく感じられ、15年の時を経て、熟成感が生まれつつもまだまだポテンシャルを感じさせる素晴らしいワインです。

ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン2005_2
ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン2005_2

特徴的な身体意識は、センター(細径軸・中径軸)、サイド・センター(第1側軸・第2側軸・第3側軸)、上丹田、中丹田、アウトリバース、肩包面、ウォールなど。

天性のクオリティを持つセンターは、細径軸が美しく天地に通っています。ワインのテイスティング表現に「背骨のある」というものがありますが、このワインの場合、細径軸と複数のサイド・センターが生み出す味わいの印象がそのように表現させています。

下半身には中径軸も通っており、洗練されたミネラル感を感じさせます。

サイド・センターは6本通っており、第1側軸は清々しい天性のクオリティを持っています。細径軸もそうですが、この天性のクオリティは、オート・コート・ド・ニュイの高い標高と涼しい気候を上手く反映した結果でしょう。また、造り手自身の身体意識が反映されたものでもありそうです。

第2側軸は熱性のクオリティを持っており、第3側軸はしっかりとしたクオリティを持っています。第1側軸もそうでしたが、テロワールからの影響を感じさせます。第2側軸は土壌の持つ温かさ、第3側軸はミネラルの影響でしょう。これらの側軸が、3種類の異なるクオリティを持つことで、味わいへストラクチャの強さとエレガントな複雑さ、ある種の奥行きを生み出しています。

第3側軸をかすめるように、熱性のクオリティを持つウォールのような身体意識も形成されています。下方から上昇するモビリティを持っており、味わいへ満足感のあるしなやかさを与えています。香りにも影響を与えており、以前本サイトで取り上げた、その名の通り薔薇の香りを感じさせる「シャトー ミルローズ マルゴー/ Chateau Mille Roses Margaux」も同様の身体意識を持つことから、薔薇のような香りのニュアンスを生み出す身体意識と考えられます。興味深いですね。

上丹田が薄っすらと形成されています。これは造り手、特にクリマの特徴や樹齢などについての詳細を記憶しているパトリスの真摯な姿勢、その身体意識が反映されたものでしょう。

中丹田は少なくとも三重構造になっており、飲んだ時の満足感を生み出しています。これは果実味との強い繋がりを感じさせ、葡萄のポテンシャルの高さが分かります。

中丹田には、外側へ向かうリバース(アウトリバース)が形成されています。前方へ向かうリバースが2本形成されており、現在の造り手である2人、パトリスとシャルルのワイン造りに対する想いが反映されたものでしょうか。

天性のクオリティを持つ肩包面が薄っすらと形成されており、強い熱性のクオリティを持つ身体意識とのバランスを取っています。

BA_ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン
BA_ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン

このように身体意識から観ると、テロワールの特徴と造り手の想いが、シンプルな要素の中ですっきりと上手く表現されているワインと言えます。他の造り手のブルゴーニュ数本と飲み比べた際に、最も縦系のストラクチャが感じられたワインなのですが、この縦系のストラクチャの強さがありつつ、中丹田から来る親しみやすい味わいの満足感もあるところが、このワインの魅力です。ぜひ飲んでみてください。

このワインは総支配人が高岡師範から依頼された、ワイン30本セレクションに選んだ一本であり、思い入れのある一本です。このセレクションに関する話も色々とあるので、別の機会に掲載できれば、と思います。人生で最も緊張した30番勝負でした。。笑

このジャック・カシューは高岡師範から高評価を頂いた一本ですので、自信を持ってお勧めさせて頂きます。

この造り手のワインは全てお勧めですが、中でも
ヴォーヌ ロマネ プルミエ クリュ ラ クロワ ラモー/Vosne-Romanee 1er Cru La Croix Rameau
は別格の完成度です。特級畑「ロマネ・サン・ヴィヴァン」の一角にあり、0.59haというヴォーヌ・ロマネ最小の一級畑。最も特級畑に近いポテンシャルを持っています。この造り手の象徴的なワインです。

一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。

豊かな果実味のワインを得意とし、一級ラ・クロワ・ラモーの所有者。

ジャック・カシューの名前が挙がると真っ先に思い浮かぶクリマは、ヴォーヌ・ロマネ1級のラ・クロワ・ラモーであろう。
ロマネ・サン・ヴィヴァンに隣接する0.6ヘクタールのこのクリマはカシュー家のモノポールというわけではない。ほかにも2軒のドメーヌが所有するが、カシューを代表するクリマとしてよく知られている。
もともとサン・ヴィヴァン修道院の畑として、今日のロマネ・サン・ヴィヴァンに含まれていた区画であり、80年代半ばにはジャック・カシューが特級昇格をINAOに申請した経緯がある。
ラベルに見える十字架(クロワ)はこのクリマの石垣上にあり、ヴォーヌ・ロマネにある5つの十字架のなかでも一番古いものだという。

94年にジャックは引退し、現在、ドメーヌの当主は息子のパトリスが務める。眼鏡をかけた長身の彼は高校教師のような風貌で真面目一徹。クリマの特徴や樹齢などこと細かに記憶しており、それをわかりやすく説明する。

カシューが所有する畑の面積は合計6.7ha。ほとんどがヴォーヌ・ロマネだが、ニュイ・サン・ジョルジュとシャンボール・ミュジニーにも小さな区画をもつ。
村名ヴォーヌ・ロマネはクリマごとに醸造し、5つの銘柄に分かれる。それぞれが異なる個性をもっており興味深い。
ブドウ栽培はリュット・レゾネ。ブドウは完全に除梗し、ステンレスタンクを用いて醸造する。11〜15度の温度で1週間の低温マセレーションの後、自生酵母による自然発酵。その後、17ヶ月の樽熟成を施す。新樽率は村名で3分の1、一級以上は100%と高めだが、パトリスの造るワインは全体に果実の凝縮度が高いため、新樽を受け止めるには十分だ。

リッチな果実味を主体とするモダンな造りだが、各クリマの特徴を見事に引き出し、バランスはとてもよい。またベーシックなブルゴーニュやブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイでもたっぷりとした味わいがし、高い満足度を得られる。

2012年からパトリスの息子、シャルルがドメーヌに参画。
これから少しづつブドウ栽培とワイン醸造が父によって叩き込まれていくことだろう。

ブルゴーニュ オート コート ド ニュイ
Bourgogne Hautes-Cotes de Nuits Rouge Bec a Vent
標高が高く涼しい気候のオート・コート・ド・ニュイのワインは、タイトなボディが持ち味。ラズベリーやチェリーなどフレッシュな赤い果実の風味に、ビシッとミネラルが背骨を作る。タンニンはキメ細かでしなやかな喉越し。

ヴォーヌ ロマネ プルミエ クリュ ラ クロワ ラモー
Vosne-Romanee 1er Cru La Croix Rameau
特級昇格を目指す、ロマネ・サン・ヴィヴァンの隅に隣接する1級畑。カシュー家のほかに2軒しか所有していない。ブラックベリーやカシスなど黒い果実のアロマが主体。濃密なスタイルで、リッチでゴージャス。ビロードのように滑らかな舌触りとシルキーな喉越しをもつ。

※《》内はインポーター資料より
https://order.luc-corp.co.jp/shop/g/g10103101814/

https://order.luc-corp.co.jp/shop/m/m10103101/

生産者の情報
https://order.luc-corp.co.jp/shop/m/m10103101/

名称 ジャック・カシュー ブルゴーニュ オート・コート・ド・ニュイ ルージュ ベック・ア・ヴァン
英字表記
Bourgogne Hautes-Cotes de Nuits Rouge Bec a Vent(Jacques Cacheux)
生産者 ドメーヌ・ジャック・カシュー・エ・フィス/Domaine J.Cacheux et Fils
国・産地
フランス・ブルゴーニュ・オート コート ド ニュイ
セパージュ【葡萄の品種】
ピノ・ノワール100%
ビンテージ【葡萄の収穫年】 2005
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】
STポイント※1 90
クラス※2 ハイクラス
抜栓 2019/12
※1
本サイト責任者による評価。身体意識のレベルを中心に、香り・味わい・ポテンシャル・コストなどから算出。最大100ポイント。
※2
価格帯により分類
レギュラークラス3000円未満
ハイクラス6000円未満
スペシャルクラス1万円未満
プレミアムクラス1万円以上
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