エクスペクタティア ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ/Exspectatia Domaine Christian Ducroux 〜おすすめワインリスト〜

エクスペクタティア2017 ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ

今回おすすめするワインはこちら。

フランスにおけるヴァンナチュールの第一人者、クリスチャン・デュクリュが造る一本。

ボジョレー・ヌーヴォー(ボジョレー地方の新酒)で有名なボジョレー地方の造り手で、以前はヌーヴォー名義でもワインをリリースしていましたが、ゆっくりと飲んで欲しい、という造り手の意向から、ヌーヴォーという名称は使わず、現在は「プロローグ/Prologue」という名称でリリースしています。個人的にヌーヴォーの名称の頃から飲んでいたもので、とても美味しいです。

今回ご紹介させて頂くのは、元々レギュラーシーズン用としてリリースされた、さらにゆっくりと飲んでもらうためのワイン。

クリスチャン・デュクリュは決して有名な造り手ではありませんが、彼自身がヴァンナチュールを体現しているかのような存在です。

スポンサーリンク

彼自身を含めたワイナリー全体が自然の循環に溶け込んでおり、20年以上に渡ってビオディナミのルールに乗っ取って耕作されています。

トラクターの利用は土地の圧縮を避けることから最小限に抑えられ、彼の所有する双子の雌馬を使って耕作を行っています。

まさにヴァンナチュールを体現する生活を送るクリスチャン・デュクリュですが、手掛けるワインの味わいも素晴らしいものがあります。

赤系果実や花の香り、スパイスのニュアンス。味わいは、あずきのような酵母系のニュアンスがあり、そこへ旨味が乗ってきます。これは全ての彼のワインに共通する特徴であり、これにハマると定期的に飲みたくなってしまいます笑
そこへ軽やかなベリーやさくらんぼの果実味が乗り、嫌味のない酸と自然なミネラル感もあるため、全体としてバランスがよく料理にも合います。派手さはありませんが自然であり、身体に染み渡るワインです。

還元臭を伴う未完成な作品が多い近年のヴァンナチュールブームのワインとは全く異なる完成度です。本サイトでご紹介させて頂いた「ニコラ・ジョリー」もそうですが、ブームになる前から地道に取り組みを重ねている造り手は、やはり別格と言えるでしょう。

特徴的な身体意識は、センター(大径軸)、上軸、下軸、中丹田、下丹田、ウォールなど。

センターは、天性のクオリティを持つ大径軸が薄っすらと通り、全体に統一感を与えています。

上丹田よりも後ろ、2.5軸辺りには、天性のクオリティを持つ上軸があり、その周りを囲むように剛性の軸も入ってきてきます。このワインにストラクチャを与えている身体意識のひとつで、何となく染み渡る感じで美味しい、というだけではなく、構造を伴う美味しさを感じさせます。熟成とともにどうなっていくのかが楽しみなところです。

中丹田は縦長で、上の空いた花瓶のような形状をしています。旨味や果実味から来る満足感を与えてくれます。

中丹田より外側には、熱性のクオリティを持つ上方へ向かうウォールが形成されています。このウォールで軽やかさを生み出しています。

一方、その外側にはしっかりとした静的なウォールも形成されており、これもワインにストラクチャを与えています。

股の前方には小さな下丹田が形成されており、その内側には熱性の球状の身体意識があり、そこへ下方から熱性のクオリティをもつ下軸が2玉の位置に入ってきています。これはある種の性的な魅力を生み出しており、このワインの官能的な味わいを創り出している身体意識です。

腰の左右には、温性のクオリティを持つ枕のような身体意識があり、その周囲を少ししっかりとしたクオリティが包んでいます。

上軸、下丹田、ウォール、腰の左右にある身体意識、というように、熱性・温性のクオリティをしっかりとしたクオリティで包むような構造が複数感じられます。これらは、花崗岩質の土壌(主に石英・カリ長石・斜長石・黒雲母からなる)の影響かと思われますが、より広い範囲の自然環境を反映したものかもしれません。

BA_エクスペクタティア ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ
BA_エクスペクタティア ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ

自然派のワインというとガイアのクオリティがありそうな気がしてしまうのですが、飲んでみると意外に感じられません。ニコラ・ジョリーのワインもそうでしたが、この辺りは今後の研究課題として押さえておきたいところです。クオリティは異なりますが、上方へ向かうウォールが形成されていることも、ニコラ・ジョリーとの共通点ですね。

全体として、味を超えた人間性の深みを感じるワインです。

この造り手の他のワイン、
冒頭でも挙げた
プロローグ/Prologue

パシエンス/Patience
もおすすめです。

いずれもガメイ100%で作られたワインですが、飲んでみる価値のあるワインだと思います。

パティアンス (ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ)
パティアンス (ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ)
エスキス ロゼ(ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ)
エスキス ロゼ(ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ)
ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー2006(ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ)
ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー2006(ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ)
ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー2008(ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ)
ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー2008(ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ)

余談ですが、プロローグ/Prologueがまだヌーヴォー名義でリリースされていた頃に、高岡師範に飲んでいただいたことがありました。高岡師範からは「完全にヌーヴォーを超えた味わい」という評価を頂いております。その時、同時に飲んでいただいて高評価だったボジョレー・ヌーヴォーは「ドメーヌ・ド・ラ・フュリー/Domaine de la Fully」という造り手のトップキュベである「キュベ マルティーヌ/Cuvee Martine」。こちらも素晴らしい味わいでした。

ドメーヌ・ド・ラ・フュリー ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー_キュベ マルティーヌ_2009
ドメーヌ・ド・ラ・フュリー ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー_キュベ マルティーヌ_2009
ドメーヌ・ド・ラ・フュリー ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー2006
ドメーヌ・ド・ラ・フュリー ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー2006

ヌーヴォーとしては上記以外にもおすすめがありますので、別の機会に取り上げて行きたいと思います。

一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。

ボジョレーのオアシスのような畑。フランスのヴァンナチュールの先駆け。

1970年からワイン造りを始め、1980年にはすでに有機栽培を実践したクリスチャン・デュクリュ。現在64歳になります。

ボジョレーだけでなく、フランスを見渡しても指折りのヴァンナチュールの第一人者です。
それでいて今日の今日まで、イベントなどにも参加する事なく、素朴で静かな生活を大切にしながら葡萄を育ててきたクリスチャン。彼自身がナチュールを体現しているような存在です。

わずか4.3haの畑。自然を尊重しながら、ビオディナミのカレンダーに沿って栽培。畑の中には葡萄の木と一緒にリンゴの木やアプリコットの木が植えられ、その木の上では鳥がさえずり、他では見た事のない不思議な空間。
畑の隣には彼の育てる野菜畑があり、豚や鶏や鴨が買われています。
豚の子供達がブドウ畑の中を所狭しと走り回る姿に思わず笑ってしまいます。彼の畑の中に入ると、自然の中にどっぷり浸かっているような気持ちになります。

畑の話をしている時のクリスチャンは何よりも楽しそうです。カイナとエルバという愛馬とともに耕作。

30年にも渡るビオ栽培の中で、根は地中深く根ざし、畑の中も、地中の中も、畑を包み込む空間も、全てが大きな自然循環の営みの中にあります。葡萄は活き活きとエネルギーに満ち溢れ、それがそのまま瓶に詰め込まれたクリスチャンのワインは、感動するほど美味しいです。

Prologue 2018
プロローグ
品種:ガメイ
クリスチャンがヌーボーとして造るキュヴェですが、はや飲みとしてではなく、ゆっくりと飲んでほしいとクリスチャン。すっと優しく軽快な果実のニュアンスの奥に、じわりとじわりと優しい旨味が顔を出します。奥行きのある素晴らしいガメイ

Patience 2015
パシエンス
品種:ガメイ
1年間大樽で熟成後、瓶詰めして1年さらに熟成。30hl/ha。全ての区画のプレスジュースを合わせたキュヴェ。
力強く複雑味があり、絶妙な職人技が光ります。熟成してこそ本領を発揮するワインです。

ヴァン・ナチュール第一人者が引出すガメイの美味しさ

概要
クリスチャン・デュクリュー氏は1970年からレニエでワイン作りを始めました。1980年代からビオディナミに注力していきますが、 ボージョレ地区だけでなく、フランス全土をみても、この農法を取り入れた最初の生産者の一人です。1985年にナチュール・プログレの認証を得て、その後にDemeterを得ました。4.3ヘクタールの畑は、微生物の働き、繊細な土壌を守るため、重たいトラクターではなく、HévanとKaïna(クリスチャンの双子の雌馬)を使って土を耕し、1ha当たり1万株という密度で植えられたブドウ樹は短く剪定され、収穫量をコントロールしています。また堆肥は必要な時以外は与えず、テロワールの力を最大限に引き出すことに努めています。

栽培・醸造
彼が所有する4.3ヘクタールのブドウ畑は、ボージョレーの歴史的な都市であるボージュから5キロ離れたランティニエ・ドゥレット の村落にあります。花崗岩質の古代地層の上に広がり、南東に傾斜、微気候、日照時間など葡萄栽培にとても適しています。 20年以上に渡ってビオディナミのルールに乗っ取って耕作されています。ブドウの木々は、マッサルセレクションによって選ばれたものです。化学製品は一切使われておらず、薬草やミネラルを原料とした肥料などを使用。また、土地や星などのリズムを重視しています。動植物の多様性も尊重することで、畑はとても活力に溢れ、健康的に維持されています。
土壌へのトラクターの利用は土地の圧縮を避けることから最小限に抑えられ、主に彼の所有する双子の雌馬を使って耕作を行います。ブドウの木々は7畝中の2畝を引き抜き、そこに下草と花を植えています。これにより、益虫を引き寄せることを試みてい ます。また、周囲に木を植え、鳥を呼び寄せることも行っています。

収量は、この地域では非常に低く、たいてい35hl/haあたりです。そのため、ワインはちょうど良い凝縮感にあふれています。収穫は手摘み。醸造は、人為的介入を極力排除しています。木製の桶を使って、自然酵母によるセミマセレーションカーボニック発酵を行います。だいたい、発酵は3日から6日間続きます。そして、熟成は大樽で行います。濾過、清澄は行いません。また、二酸化硫黄の添加も必要がなければ行いません。味わいはピュアで果実味に溢れています。アルコール度数の高いワインでもなく、とてもバランスの取れたワインを毎年生産しています。

Exspectatia (エクスペクタティア)
病気や害虫の被害などはなかったそうですが、雷雨や 雹、そして1947年以来の乾燥の影響を受け、収穫が乏しいヴィンテージとなりました。色合いは濃いめの赤紫 色で縁はピンク色です。抜栓時から芳香は立っていて、 果実感や花、スパイシー感もあります。味わいは滑らか な酒質(最後にしっかりタンニンは感じます)、甘酸っぱいさくらんぼや黒い果実感、ザクロ的なしっかりとした酸 味があります。デュクリューらしい素朴ながら、身の詰まった余韻の長いワインだと思います。

Vin de France
品種:ガメイ
価格:3400円(税別)
色:赤
2017年
アルコール度数:11.98%
樹齢:N/A
SO2合計:未検出
栽培:有機農法
SO2自由:N/A
収穫:手摘み
認証:Nature & Progre, Demeter
醸造:自然酵母

※《》内はインポーター資料より
http://niban-doori.com/vignerons/list/christian_ducroux.html

http://www.le-vin-nature.net/Christian%20Ducroux%20201808

生産者の情報
http://niban-doori.com/vignerons/list/christian_ducroux.html

http://www.le-vin-nature.net/Christian%20Ducroux%20201808

名称
エクスペクタティア ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ
英字表記
Exspectatia Domaine Christian Ducroux
生産者 ドメーヌ・クリスチャン・デュクリュ
国・産地 フランス・ボジョレー地方・レニエ
セパージュ【葡萄の品種】
ガメイ100%
ビンテージ【葡萄の収穫年】 2017
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】
STポイント※1 85
クラス※2 ハイクラス
抜栓 201812
※1
本サイト責任者による評価。身体意識のレベルを中心に、香り・味わい・ポテンシャル・コストなどから算出。最大100ポイント。
※2
価格帯により分類
レギュラークラス3000円未満
ハイクラス6000円未満
スペシャルクラス1万円未満
プレミアムクラス1万円以上
先頭に戻る