ラ ポルト デュ シエル シャトー・ラ・ネグリ/Chateau la Negly La Porte du Ciel 〜おすすめワインリスト〜

ラ ポルト デュ シエル_シャトー ラ ネグリ

今回おすすめするワインはこちら。

フランス・ラングドックのラ クラプという産地で作られるワイン。個人的には南仏最高峰の一本です。

南仏といえば、シャトーヌフ・デュ・パプやエルミタージュなどのAOC(原産地統制呼称制度)が有名ですが、それらの地域で作られるハイレベルなワインの中にも、これ程の個性とポテンシャルを持つワインはほぼありません。

若いうちは果実由来の香りや樽熟成由来のカカオやバニラのニュアンスがありますが、長期熟成後は、言葉では表現し難い深く複雑な香りとなります。
敢えて特徴を単純化するなら、恐ろしく深く気品に満ちたヨード香とでもいうような、他に類を見ない香りの特徴があります。

味わいは黒系果実をベースとしていますが、果実味よりも、海の底に長い年月をかけて堆積し凝縮した海藻をさらってきて味わっているかのような印象を強く受けます。
他のワインで全く飲んだことのない味わいです。
厚みやパワー、骨格はありますが、タンニンは極めて滑らかです。単調なパワーではなく、深遠さと気品・品格を伴うエネルギー感を持っています。

スポンサーリンク

特徴的な身体意識は、センター(細径軸・中径軸・大径軸)、上丹田・中丹田・下丹田、側軸、肩包面、ガイアのクオリティなど。

細径軸・中径軸はかなりの高さと深さがあり、特に深さは凄まじいものがあります。
味わいで感じる深遠さは、このセンターの深さと間違いなく対応しています。

気品は高いセンターと美しい肩包面による影響でしょう。

大径軸は上部がロート状になっており、規模の大きさと長期熟成可能なポテンシャルを感じさせます。

三丹田も強力で、特に下丹田が発達しており、深い落ち着きを味わいにもたらしています。

側軸もしなやかに形成されています。若い頃はもう少し硬いのですが、長期熟成を経てタンニンがこなれることにより、側軸も柔らかくなっています。上質な格を作り出しています。

海とのつながりを感じる、天性のクオリティを持つ身体意識が下半身に形成されています。
この身体意識と、全身に展開するガイアのクオリティによって、奥深い海とのつながりやそれを連想させる味わいを生み出しています。

ここはローマ時代、島だった地域であり、それが長い年月をかけて陸地とつながったという特殊な土地だそうです。

このような情報を知らずに飲んだので、後で調べてみて感動した記憶があります。

味わいにおいても身体意識においても、まさに深遠な海の底を感じさせるワインですが、暗く寂しい感じはなく、温かく優しい安心感があります。
海から生命が誕生した進化の歴史を感じさせるような素晴らしいワインです。

BA_ラ ポルト デュ シエル_シャトー ラ ネグリ
BA_ラ ポルト デュ シエル_シャトー ラ ネグリ

これは余談ですが、抜栓前は南仏のシラーなので、単純にスパイシーなソーセージと合わせようとしていましたが、テイスティングするとそれどころではありません笑

そこで、高岡師範のアイディアにより良質のカラスミに柔らかな昆布をほんの一欠片乗せたものを合わせました。

相対的に不足している熱性のクオリティの身体意識を、カラスミの持つ強い中丹田や腹赤などの熱性の身体意識が補う構造で、素晴らしいマリアージュでした。

この造り手のその他のワインもそれぞれ個性的で美味しいですが、
中でもスタンダードラインで上品な味わいの
シャトー ラ ネグリ ラ コート/Chateau La Negly La Cote

ワンランク上で複雑な味わいの
シャトー ラ ネグリ ラ ファレーズ/Chateau La Negly La Falaise
はおすすめです。

ぜひ飲んでみてください。

一般的な味わいなどの詳細は、インポーター資料より抜粋します。

カルト的人気を博し、「ワイン アドヴォケイト」でも高評価
現在のオーナー、ジャン ポー ロセが引き継いでからは、品質重視のワイン造りをめざし、すべての畑の改革を実行、葡萄の植え替えを行い、栽培方法も新たにし、質の高い葡萄の栽培が出来るようにしたのです。

1992年、以前栽培していた伝統品種に代わり、シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルの栽培を始めました。また、収穫も機械摘みから手摘みに切り替えました。

シャトー ラ ネグリの葡萄の収穫は、8~10kg入りのカゴを使い、すべて手摘みで行います。高品質を目指すために、50haの畑の平均収穫量は25hl/haに抑えています。
収穫した葡萄は、酸化を防ぐため速やかに低温に保たれたセラーに運ばれ選別を行います。約4~8名のスタッフが選果テーブルで厳しく選別を行います。十分に熟していない葡萄、ボトリティスがついているもの、過熟の葡萄を取り除き、完璧な葡萄のみを残します。

ワインの醸造は、ラングドックでNO.1と呼び声が高いコンサルタントのクロード グロの指導の下、デイディエ ラクロー(Didier Lacreu)が行います。

歴史
シャトーの歴史は、18世紀にさかのぼります。当時はシャトー ランスリと呼ばれていました。
1807年「ラ ネグリ」と名乗るようになりました。
1930年代 現在のオーナー、ジャン ポー ロセの母方の一族の所有となりました。
1992年 ジャン ポー ロセが引き継ぐ。
2006年 契約畑だったドメーヌ ド ボエードを取得しました。

葡萄園
シャトー ラ ネグリ50ha、ドメーヌ ド ボエード25haを合わせて75ha
ネグリの土壌が粘土石灰質であるのに対し、ボエードは砂質ロームと砂岩と、土壌の組成が異なります。

栽培
畑の管理を行うバスティアン ポー ロセ(オーナーのジャンの息子)が12名の常駐スタッフと共に、1年を通して綿密な手入れを行っています。


ワイン造りの物語
皆様は“ラ クラプ”というワイン産地をご存知でしょうか。
1985年にAOC“ラングドック ラ クラプ”として認定された産地で、その後、単独表記ができるAOCへの格上げに奮闘。念願かなって2015ヴィンテージより単独AOC“ラ クラプ”を名乗ることが認められたという、今、フランスで最も注目を集める産地の1つです。また、ラングドックの単独AOCの中で初めて、赤白ともに単独AOCに認定されたという産地でもあります。

ラングドックの代表都市の一つであるカルカッソンヌから東へ約80キロ、地中海を臨む広大なナルボネーズ自然公園内にラ クラプはあります。ラ クラプに認定されているエリアは約1,000haで、実はローマ時代は地中海に切り立つ島でしたが、長い年月をかけてピレネー山脈からの堆積物がフランス本土沿岸と島の間を埋めつくし、陸地とつながったという特殊な土地です。
“ラ クラプ”はオック語で「大量の小石、石の堆積」を意味しており、畑にはところどころに石灰岩が露出し、葡萄栽培にとても適した水はけの良い土壌です。

2016年5月のラングドックへの視察では、コルビエールやミネルヴォワといった標高の高い山間部エリアの後にこのラ クラプを訪問したこともあり、到着したときには、こんなにも海が近いのかと大変驚きました。(そういえば海のイメージが強いシチリアのサンブーカを訪問した際でも、ここまで畑と海の距離は近くではありませんでした)
終始強く吹く風は潮の香りが混じった海風で、その海風に揺られる葡萄の樹を見ていると、この土地が他のラングドックのどの産地とも異なるテロワールを持った唯一無二の産地であることを目で、そして肌で体感することができました。

ラ クラプの高台(標高約200m)には低木やガリーグ(ローズマリーやタイム、セージなどハーブ類の総称)が一面に広がっています。よく「地中海沿岸のワインはガリーグの香りがする」と言われますが、高台に登る道中で車窓を開けると、実際にそのガリーグの香りがふんだんに感じられ、「これが噂に聞いていた香りか…」と、とても貴重な体験をすることができました。

さて、その注目AOCラ クラプの中でも特に評価が高く、このAOCの昇格に大きく貢献した生産者が、今回ご紹介させていただきますシャトー ラ ネグリ(以下、ネグリ)です。今回は約10年振りの訪問となりました。

ネグリのワイン造りは厳密に言えば、3つのプロジェクトに分かれています。

1つ目は“シャトー ラ ネグリ”または“ドメーヌ ラ ネグリ”の名前でリリースする自社ブランド。こちらはラ クラプを中心としたラングドックに点在する畑からワインをリリースしています。

2つ目が“ドメーヌ ラ ボエード”。こちらは、ネグリと彼らのコンサルタントを務めるクロード グロの共同出資によるドメーヌで、ネグリとは異なるテロワールのラ クラプの畑(約25ha)から長熟な赤ワインを生産しています。

そして3つ目が“セレクト ヴァン”。簡単に言うとプロデュースのワインですが、一般的なネゴシアンとの大きく異なるところは、単に葡萄やワインを購入するだけではなく、栽培、醸造、熟成まで一貫して指導しています。そして、最終的なボトリングはネグリの施設で行い、それぞれの生産者名でリリースしています。

今回の訪問では、ネグリの指揮を執る当主のジャン ポー ロセ、そして、彼の娘で輸出担当のマリオン ロセが案内をしてくれました。元々このネグリでは葡萄栽培こそ行っていたものの、その葡萄は協同組合に販売しており、自社でワインの生産は行っていませんでした。ジャン ポー ロセはその葡萄のポテンシャル、ラ クラプの土地のポテンシャルにいち早く気が付き、家族を説得して1992年にシャトーを相続。その後、今ではスターエノロジストとなったクロード グロと共に改革を行い、自社でのワイン生産を始めました。その改革は多岐に渡るもので、畑では植樹法の変更やキャノピー マネージメント(葡萄葉の管理)の徹底、収量制限、セラーでは新しい発酵槽の導入や醸造、熟成時の温度管理の徹底などが挙げられます。また、近年の改革で特記したいのが、ボトリング・保管施設の設立です。こちらは元々、塩の製造会社だった施設を改装して2014年に完成しました。ネグリやボエード、その他セレクトヴァンのワインは、それぞれのセラーにて醸造、樽熟成を経た後に、この施設に運んでボトリング、保管、出荷を行います。そうすることにより、全てのワインを最新のボトリング施設で瓶詰することが可能になり、更には配送コストも大幅に下げることができました。
ネグリの改革はまだまだ続いており、今年はセラーの改装に着手したいと、ジャン ポー ロセは語っていました。

ネグリ、ボエード、セレクトヴァンのワインはそれぞれが素晴らしく、個性豊かであるため、この場でご紹介するワインを絞ることが大変困難なのですが、今回はラ クラプについて説明をさせていただきましたので、ラ クラプのワインを数点ご紹介させていただきます。

FB-904 シャトー ラ ネグリ ラ ブリーズ マリン AOCラ クラプ
AOCラ クラプと名乗ることができる白ワインは土着品種のブールブーランを40%以上使用することが義務付けられています。(その他複数品種のブレンドが認められていますが、このブリーズ マリンはルーサンヌとブールブーランのブレンドです)
聞き慣れないブールブーランですが、マリオンいわく“ミネラルの強い品種“です。また、とても晩熟であり、このエリアの白葡萄品種は8月末に収穫するところ、このブールブーランは10月の第一週に収穫します。
また、ワイン名の“ブリーズ マリン”=「海風」の名前通り、どことなく海の香りを感じるワインです。ロセ親子とのランチでは、このブリーズ マリンと地元のカレイ(turbot)のソテーと合わせましたが、この組み合わせが実に見事!
ブリーズ マリンの豊かなミネラル、シトラス系の果実味や程良い酸味と、カレイのホロホロとした質感と皮の香ばしい感じ、オイルベースのソースと程良い塩味ととても良く合いました。日本でも再現できそうな組み合わせですので、ぜひ皆様にも味わっていただければ幸いです。

FB-907 ドメーヌ ド ボエード レ グレ AOCラ クラプ
それまで契約畑だったドメーヌ ド ボエードでしたが、2006年にネグリとクロード グロの共同経営という形で取得しました。同じラ クラプ内ですが、ネグリとは異なるテロワールです。2つのタイプの土壌があり、1つは粘土、もう1つは砂(砂岩)で、グルナッシュとシラーのブレンド。非常に濃い色調で、圧倒的な存在感。スパイシーな香りがあり、ブラックベリーやモカの濃厚な味わい。長い余韻が続く、正にグランヴァンの風格があります。

今回の訪問では、二人ともお忙しい中、ジャン ポー、マリオン ロセ親子が終日アテンドをしてくれました。畑を見学中に、伸びた葉が気になり、説明しながらも自然に間引きしているジャン ポー ロセの姿はシャトーのオーナーというより、一人のヴィニュロンの姿で、その姿からこのラ クラプという土地や、この土地から生まれるワインをとても愛しているのがとてもよく伝わってきました。

また、情熱的なジャン ポー ロセはずっと話を続けてラ クラプの特徴やワイン以外の特産物について詳しく教えてくださったのですが、その話を聞いていると、私がラ クラプのことを勉強不足だなと実感し反省しつつ、まだまだ日本で浸透していないこのラ クラプのワインの魅力をもっともっと伝えていきたいという気持ちに駆られました。

今回はご紹介できませんでしたが、ネグリが生産するワインはラ クラプ以外にもラングドックの様々なAOCやIGPのワインがあり、そのどれもが個性豊かである一方で、高いコストパフォーマンスとネグリらしいエレガントさが共通して感じられます。

皆様にもぜひ、この機会にネグリ、ボエード、セレクトヴァンのワインを手に取っていただき、ラングドックやラ クラプのテロワールはもちろん、ジャン ポー ロセ、クロード グロ達の改革、進化の味わいを感じていただければ幸いです。

ラ ポルト デュ シエル/La Porte du Cielについて
「ラ ポルト デュ シエル(La Porte du Ciel)」とは「天国への扉」という意味。

畑の土壌は非常に石が多く、砂と粘土が混ざる石灰質土壌。表土の薄い、やせた土壌であること、厳しい剪定、収量制限をしているため、収量はたいへん低く15hl/ha。
葡萄は手摘みで収穫します。100%除梗し、さらに粒ごとに厳しく選別します。円錐形をした発酵樽で60日間の長い醸しを行います。マロラクティック発酵と熟成は、バリック(225L)の新樽で24ヶ月行います。

チェリーやカカオのアロマの中に、かすかに樽からくるバニラやタバコの要素。口当たりは非常にリッチで深みがあります。驚くほどなめらか、心地よいブラックベリーの果実味があり、パワフルでありながら非常にやわらかく、タンニンは完璧なまでに熟しており、驚くほどの持続性があります。

※《》内はインポーター資料より
http://www.inaba-wine.co.jp/blog/?id=1471499395-658318&ca=1

http://www.inaba-wine.co.jp/wine/?id=1482201656-129452&sf=1

生産者の情報
http://www.inaba-wine.co.jp/wine/?id=1482201656-129452&sf=1

 

名称 ラ ポルト デュ シエル シャトー・ラ・ネグリ
英字表記 Chateau la Negly La Porte du Ciel
生産者 シャトー・ラ・ネグリ
国・産地 フランス・ラングドック ルーション・ クラプ
セパージュ【葡萄の品種】 シラー、グルナッシュ
ビンテージ【葡萄の収穫年】 2002
タイプ【泡/白/ロゼ/赤など】
STポイント※1 98
クラス※2 プレミアムクラス
抜栓 201602

 

※1
本サイト責任者による評価。身体意識のレベルを中心に、香り・味わい・ポテンシャル・コストなどから算出。最大100ポイント。

 

※2
価格帯により分類
レギュラークラス3000円未満
ハイクラス6000円未満
スペシャルクラス1万円未満
プレミアムクラス1万円以上
先頭に戻る